宇宙兄弟(Space Brothers) --もう一度考えよう“夢”の意味、“リスク”の意味《宿輪純一のシネマ経済学》
しかし、そのまま2人とも楽に宇宙飛行士になれるほど、人生(映画)も甘くない。厳しい宇宙飛行士選抜試験の最終段階にやっとたどり着いたとき、日本人初の月面歩行者となったヒビトの乗った月面探査機が消息を絶ってしまう。このように窮地に立たされてからが、本当の盛り上がりであるが、ここでは書けない。
宇宙の話には「夢」という単語がよく使われる。それは宇宙には大きな可能性があるものの、宇宙飛行士となれる可能性としては大変に低いということがそのベースにあるのだろう。昔から宇宙は映画によく登場してきた。
『2001年宇宙の旅』『アポロ13』など書き出すときりがないが、宇宙の映画は大体において途中、トラブルに巻き込まれる。そして、(映画ということもあり)なんとか生還するパターンがほとんどだ。
それほど危険な宇宙に向かうのは、「夢」があるから、という人が多い。日本語での「夢」は、寝ているときに見る夢という意味合いが強いせいか(この映画では結構、明確化されているが)、甘く緩いイメージが強い。
しかし、以前アメリカで仕事をしていたときに強く感じたのは、アメリカ人の考える夢(いわゆるアメリカンドリーム)は日本語の夢ではなく、「目標」に近い意味合いを持っているのである。夢とは、明確化されたプロセスまで考えた目標なのである。