
スーツ全盛時代は「ドレスアップ=相手に敬意を示す」という価値観が根付いていたため、「とりあえずスーツでOK」でしたが、オフィスカジュアル浸透の今、状況は一変。
たとえばカジュアルな恰好のクライアントと対峙したとき、こちらがネクタイを締めたスーツ姿では「売り手が偉そうに見える」という状況になりかねません。これでは相手が商談に集中できる環境とは言えませんし、こちらの発言がスッと入っていかない懸念もあるでしょう。一方、こちらがカジュアルすぎる恰好では、発言の信憑性に影響を及ぼしかねないことは容易に想像できますよね。
商談は、顧客との信頼関係なくして成立せず、身なりは言葉を交わす前に信頼関係を築く手段です。高額案件になるほど、担当者の身なりが安っぽく見えてしまえば「この人に任せて大丈夫かな?」という疑念を持たれかねませんし、たとえ高額案件ではなかったとしても、こちらの意図が誤解されるリスクもあるのでは。きちんとしたスーツ姿の顧客の前に、自分が感動ジャケットとスニーカーでラフに現れたら、相手の目にはどう映るでしょうか。人によっては「軽んじられている」と受け取られかねませんよね。
つまりオフィスカジュアル時代の商談では、「相手に合わせる」もしくは「相手より、一段きちんとする」ことが安心ラインですが、それには「より微細なTPOの使い分け」が求められます。
「ジャケットの線引きが曖昧」問題
ここまでは誰もが理解するところですが、問題はオフィスカジュアル浸透の割りには、スーツとオフィスカジュアルにおける「ジャケットの線引きが曖昧である」ことだと捉えています。
たとえばジャケットを見たとき、色・柄や生地感の違いはハッキリ見分けられたとしても、いわゆるカッチリした肩の具合や、胴に合わせシェイプされたフォルムの違いについては、言語化することが容易ではありません。というのも我々がジャケットを形で認識するとき、大抵は「開襟デザイン」であることを基準にしているため、形における「それ以外の要素」を認識しづらいからです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら