"脳のリーダー"ともいえる前頭前野…その衰えによる「脳の老化」を見逃さないための【10の兆候】

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物事が思うように進まずにストレスがたまり、「なんでこんな簡単なことができない!」と自分や周囲に怒りを向けることもあります。

さらに、自己モニタリングの能力も前頭前野が担っています。自分の発言や行動を客観的に見て、「これで大丈夫かな?」とチェックする力です。この力が弱まると、場にそぐわない発言をしたり、冗談が度を越してしまったりすることもあります。

周囲から「最近、ちょっとデリカシーがないね」と言われたら、脳の偏りが起きているのかもしれません。

機能低下による「老化のサイン」は多岐にわたる

こうして脳は老いていく
『こうして脳は老いていく』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

意欲やモチベーションも前頭前野の重要な役割です。新しい趣味を始めたり、毎日運動を続けたりするなど、「やる気スイッチ」を入れるのはこの領域。

何事にも無気力になったり、物事を始めるのが億劫になったりしていたら、前頭前野が衰えているのかもしれません。

時間管理や展望記憶も前頭前野です。展望記憶は、「午後3時に病院の予約がある」「夕飯の買い物を忘れないように」と予定を覚えておく能力で、衰えると、約束を忘れたり、予定を立てても実行できなかったりすることが多くなります。

複雑な問題解決も前頭前野の得意分野です。例えば、旅行の計画を立てるとき、予算や日程、移動手段を総合的に考えるのはこの領域の仕事。

しかし、この能力が低下すると、複雑なタスクに圧倒されやすくなり、途中で投げ出したくなったりします。「面倒なことはやりたくない!」と思うようになったら要注意です。

脳の司令塔といわれるだけに、前頭前野の機能低下による老化のサインは多岐にわたります。あなたも該当するシーンがいくつかあったのではないでしょうか。

(出所:『こうして脳は老いていく』より)

※外部配信先ではイラストを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

遠藤 英俊 名城大学特任教授

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えんどう ひでとし / Hidetoshi Endo

1982年滋賀医科大学医学部卒。名古屋大学老年科で医学博士を取得。国立長寿医療研究センターにて、長寿医療研修センター長を務める。2020年より聖路加国際大学臨床教授 名城大学特任教授に就任。2021年、老年病や認知症に関する専門的医療を提供する「いのくちファミリークリニック」を開院。日本認知症学会専門医、日本老年医学会老年専門医。脳の老化について長年取り組み、NHK『クローズアップ現代』『きょうの健康』などメディア出演多数。著書に『医師が認知症予防のためにやっていること。』(日経BP)ほか多数

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