「夏の3カ月は北海道でキャンプ生活」「60歳前後から人生が一気に充実」"70歳以上"で愛知から東京移住した夫婦の理想的なリタイア生活

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キャンプ場での宴会風景(写真:織田さん提供)

「このように1年のうち3カ月間は準備、3カ月間はキャンプ生活ですが、残りの時期は仕事もないので引きこもり生活です。3年半前までは地元の愛知県に50年間住んでいましたので、キャンプ以外は図書館での読書などの他には何もしないことが多かったです」(義憲さん)

東京での移住生活と北海道キャンプ…人生の2つの軸

2022年3月、義憲さんが75歳の時に東京へ移住してからは、夫妻や家族による東京での移住生活と北海道キャンプという2つの軸ができ、さらに人生が充実したものになった。

東京都練馬区のマンションは賃貸だが、築30年でもしっかりとした作り。長女の美由紀さんは同じ駅に住んでいて自転車で10分ほどだ。長男の大輔さんも東京に住んでいるので、正月や誕生日などの節目には皆で会える。

義憲さんは「3LDK、74㎡なので敷地100坪、建物40坪だった愛知の自宅と比べるとかなり小さくはなりましたが、2人暮らしなのでむしろ今くらいの方がちょうどいい。家は大きくても多くの部屋が物置になっているだけですし、掃除など維持も大変。今はすぐに掃除も終わります」と話す。

キャンプを始めてから、義憲さん自身の意識にも大きな変化があった。銀行時代、激務だった義憲さんはほとんど家事関係を敏江さんに任せきりだったが、キャンプ生活を始めてからは何でも自分でやるようになった。美由紀さんの2番目の子どもがアメリカで生まれるとき、敏江さんがアメリカに1カ月半ほど行っていたが、その間も義憲さんは独力で生活した。

「60歳前後から人生が一気に充実した感じがします。仕事は完全にシャットアウトし、友人と言えばキャンプ関係と大学のスキー部時代の友人くらい。昔はゴルフもやっていましたが、バイク免許を取ってきっぱりやめました。東京に来てからは、これまで以上にやりたいことができています」(義憲さん)

東京に移住したのが75歳。今後の人生を考えると、絶妙のタイミングだったという。愛知県の自宅も相続のことを考えるといずれ処分が必要だったため、東京への移住がいいきっかけになった。

「もう私は衰える一方ですし、刺激がないとその衰えにさらに拍車がかかる。動けるうちにこうして東京に動けたことがよかった。年を取ってくると車に乗るのがだんだん怖くなってきます。

特に東京の高速道路はダメです。今軽自動車はありますが、あくまでも北海道に行くために持っているだけで、東京では極力乗らず徒歩か自転車です」(義憲さん)

最近同い年くらいのキャンプの仲間とも「80歳過ぎたらどうする?」という話をよくする。車に乗れるうちはまだいいが、乗れなくなったらどうするのか。そう考えると決断のタイミングはギリギリだった。愛知で近所だった人から「織田さん、この年齢でよく東京に引っ越しましたね」と言われたという。

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