資さんうどん、なぜ50年目にして「新味」を投入?「ねぎどっさり酸辣湯うどん」の魅力と、各社が「フェアメニュー・新味」を頻繁に投入するワケ

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一方で新メニューは、想定を越える混雑で食材の供給が途切れたり、現場のオペレーションが混乱するというリスクもある。しかし、店や本部側にとってフェアは「新たな食材供給ルートを作る」「アルバイト店員に忙しさに慣れてもらう」一面もあり、課題を解決したうえでしっかり売れたフェアメニューはレギュラーメニューとなり、「第2のキラーメニュー」への道を歩み始めるのだ。

各社の新メニュー・新味の成功事例としては、2015年の限定発売後に「既存店の売り上げ115%増」するほどのヒット商品となり、その後も断続的に発売している「肉盛りうどん」(丸亀製麺)、1991年の発売後に多くのチェーン店が類似商品を出すほどの一大ブームを巻き起こし、今でも秋の名物として定着している「月見バーガー」(マクドナルド)などがある。

ただしそんな成功例は一握りで、月見バーガーの成功に気を良くしたマクドナルドが翌年に投入した「マックのカレー」(カレーライス)のように、全盛期の山田邦子さんをCMに起用した一大プロモーションの割には不人気で定着せず、「黒歴史」化してしまうようなケースも見受けられる。

頻繁なメニュー開発は売り上げ獲得のカンフル剤になり得るものの、現場経験も豊富な社員を担当として充てる必要もあり、開発費用もかかる。それでも、既存メニューだけで生きていけないチェーン店は、犠牲を払ってでも新メニュー・新味開発に力を入れざるを得ないのだ。

資さんうどん 一枝店
資さんうどん 創業店・一枝店(福岡県北九州市)(筆者撮影)
資さんうどん 肉ごぼ天うどん・カツとじ丼
資さんうどん 「肉ごぼ天うどん・カツとじ丼」(筆者撮影)

一方で「資さん」は、半世紀にわたって「新味」投入に踏み込まなかった。しかも、2カ月ごとのフェアで投入する「新メニュー」も、「豚汁」「あなご天うどん」など、何度も登場するものが多い。

なぜ変化を必要としなかったのか? それは、「レギュラーメニューの支持が絶大すぎて、変える必要がなかったから」であろう。

「資さん」といえば、「ごぼ天うどん」などのうどんメニュー、「カツとじ丼」「牛とじ丼」、「ぼた餅」「サンデー」などのスイーツなどなど。普通のチェーン店が1品しか持ち合わせないキラーメニューを、好き嫌いがない和食ジャンルで、無数に持っている。100種類以上もある最強クラスのメニューを武器に、「来客の8割がリピーター」と言われるほど常連客を掴めるため、目新しい味を開発する必要がなかったのだ。

この状況を「ドラゴンクエスト」(ゲーム)で例えていうなら、他の並みいる勇者(外食チェーン店)が最強の武器を対戦相手側の属性によっで持ち替えて戦う中、「資さん」だけ初期装備「ひのきのぼう」だけで、属性と関係なく競合相手を殴り倒して東京まで来たようなもの。だからこそ、ほとんど何も変えずに外食業界を勝ち抜いてきた「資さん」の「新味」発売は、驚きに値するのだ。

資さんうどんを運営する「株式会社資さん」によると、新味は「常連のお客さまはもとより、新しいお客さまにもお楽しみいただける」ものとなったという。さて、フェアメニューとしての「ねぎどっさり酸辣湯うどん」(以下:酸辣湯うどん)の実力やいかに! まずは、おいしくいただいてみよう。

酸辣湯に「かしわ」どっさり?「九州風味の酸辣湯うどん」誕生!

資さんうどん
「資さん」タッチパネル(筆者撮影)
資さんうどん 酸辣湯うどん
酸辣湯うどん、通常の「資さん」の麺によく絡む(筆者撮影)
資さんうどん 足立鹿浜店
資さんうどん・足立鹿浜店。深夜まで来客でいっぱいになることもあるという(筆者撮影)
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