提携か、自主再建か--オリンパス新体制に迫られる決断
オリンパスの臨時株主総会が20日に開かれ、笹宏行・新社長、木本泰行・新会長など11名の取締役と、斎藤隆氏、清水昌氏ら4名の監査役が選任された。総会前には、一部の取締役候補者についてメインバンクの意向が強く反映されているとする海外株主の反対意見が伝えられた。会場でも一部株主から新経営陣候補に対する批判の声があがったが、会社が提案した新体制が承認された格好だ。(=タイトル横写真は議長を務めた高山修一・前社長=)
総会終了後、オリンパスOBで株主でもある70代男性は、「金融機関出身の取締役に対しては、厳しい局面でオリンパスのことを考えた決断ができるのかという不安もある」と語った。また、別の株主は「オリンパスは高い技術を持った会社であり、火中の栗をひろって会社の存続のために頑張ってきた高山さんを評価したい。一方で、変化という意味では、不正を告発したウッドフォード氏が新体制に入ることに期待していた」と、その胸中を明かした。
総会での承認を受け、ようやく船出を迎えた笹・新社長だが、一息ついている余裕はない。出身母体の医療事業は好調だが、2期連続で赤字となりそうなデジカメなど映像事業の構造改革は、急を要している。また、損失隠し問題でも名前があがったヒューマラボ、アルティス、NEWS CHEFなどの子会社をはじめとして、本業と関連の薄い事業の取捨選択も行わなくてはいけない。
そして、笹・新社長が直面する最大の問題は、昨年12月末時点で4.4%と毀損している自己資本比率をいかに改善するかだ。株主代表訴訟や構造改革にともなう費用、そして事業における不測の損失などのリスクを勘案すると、自己資本比率の改善は急務である。