そこで、たけしが言った。
「今日はお昼に手作りのお弁当をごちそうになったから、夜は僕がごちそうするね。何が食べたい?」
多くの女性がこうした場面で、小洒落たレストランに入ることを提案するだろう。だが、ひさよが指差したのは、駅の近くにあった有名チェーンのラーメン店だった。ラーメン1杯がワンコインで食べられるような、気取らない価格帯の店である。
2人はそこで並んでラーメンを食べ、自然と微笑み合い、シンプルながらも満ち足りた時間を楽しんだ。そして別れ際、たけしは真剣な表情で申し出た。
「ひさよちゃんと一緒にいると、自然体で背伸びせずにいられる。僕と、真剣交際に入ってくれませんか?」
その言葉に、「はい、よろしくお願いします」とひさよも微笑んだ。
この2人は、それから1カ月後に成婚退会したのだが、たけしは成婚を決めた理由にこんなことを言っていた。
「彼女とは金銭感覚が似ている。2人で力を合わせたら、温かな家庭が築いていけると思った」
心地よく過ごせるかどうかが肝心
これらは、夕食のラーメンをどう捉えるかで、交際が破局にも進展にもつながるという2つの例だ。要は、料理の価格や店の格ではなく、2人が共有する価値観の一致が重要なのだ。

婚活においては、“高収入”だから思い通りのぜいたくな生活ができるとは限らない。むしろ、収入よりも“消費スタイルの相性”のほうが、結婚生活においては大きな意味を持つ。
結婚は、スペックや条件だけで成り立つものではない。日常の小さな選択に表れる価値観が長い生活を支える土台になる。ぜいたくか質素かではなく、お互いに心地よく過ごせるかどうかが肝心だ。
そして、金銭感覚は愛情を日常に根付かせる“土台”にもなる。婚活の成功は相手の収入額よりも、その使い方を共有できるかにかかっているのではないか。
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