老化は食い止められる!ミトコンドリアを「元気にする」「若返らせる」食事と運動の最強レシピ

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運動が「最強の薬」になる理由

特筆すべきは、運動によるミトコンドリア改善効果は、年齢に関係なく得られることです。たとえ高齢であっても、適切な運動習慣を取り入れることで、ミトコンドリアの数も質も改善し、エネルギーの“若返り”が期待できます。

薬もサプリも大切ですが、「動くこと」が最も安価で強力なエイジングケアであることは揺るぎない科学的事実です。

筋肉を動かすことで全身が若返る

運動によってミトコンドリアが活性化する効果は、単にエネルギー代謝だけにとどまりません。最近の研究では、筋肉は単なる“運動器”ではなく、「内分泌臓器」としても極めて重要な役割を担っていることが明らかになっています。

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筋肉は、運動時にさまざまな“マイオカイン”と呼ばれる生理活性物質を分泌し、それが全身の代謝や免疫、さらには脳機能にもポジティブな影響を与えます。具体的には以下のような作用が知られています。

たとえば、イリシンは、脂肪細胞を“燃える”褐色細胞に変化させ、代謝を高めます。さらに最近の報告によれば、イリシンはネプリライシンの分泌を促進し、アミロイドβ(Aβ)の蓄積を抑制するようです。

また、BDNF(脳由来神経栄養因子)は、脳の可塑性を高め、認知機能や記憶力を改善します。

特に中高年期以降、「運動不足」と「筋肉量減少(サルコペニア)」はミトコンドリア機能の低下、慢性炎症の悪化、さらには認知機能低下の引き金となります。しかし逆にいえば、筋肉を動かすだけで“薬理効果”が得られるということです。

運動は、ミトコンドリアを増やし、筋肉から全身を若返らせる「最高の内服薬」であり、しかも副作用がありません。筋肉はまさに「動かす薬局」ともいえる存在なのです。

武本 重毅 聚楽内科クリニック院長

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たけもとしげき / Shigeki Takemoto

1960年生まれ。熊本大学医学部を卒業し、熊本大学第二内科に入局。熊本大学大学院医学研究科(脳・免疫統合科学系独立専攻免疫病態学講座)博士課程修了後、1996年から1999年まで、アメリカの国立衛生研究所の国立癌研究所にて客員研究員としてウイルス発がん・腫瘍免疫を学ぶ。帰国後、高知大学医学部附属病院第三内科学内講師、2005年より国立病院機構熊本医療センター統括診療部血液内科医長等を歴任し、2011年熊本大学大学院医学教育部臨床国際協力学分野客員准教授に。2017年4月より現職。新型コロナウイルスパンデミックを機に、「老化を治し、若返っていく」治療に取り組み、アンチエイジングの考えを毎日の治療に取り入れ「アンチエイジング3本の矢Ⓡ」を実施している。著書に『老化は「治る」 - 健康寿命を延ばす実践的アンチエイジング論 -』(ワニブックス【PLUS】新書)。

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