かつての花街に眠っていた"廃居"がよみがえる! 熱海に30年放置の「つたや」再生への挑戦。貴重な妓楼建築、「熱海の夜」活性化の起爆剤に

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しばらくして「つたや」が売却されたと情報が流れてきた。これまで売却された元妓楼建築の多くは解体され、駐車場か、建売住宅になってきた。「つたや」も他物件同様に取り壊されてしまうのかと思っていたところ、スナックのママを通じて話があり、三好さんは新所有者と会うことに。

「新所有者は開口一番、つたやは残さなくてはいけない、そのために購入したと言われました。元遊郭の建物で文化的に意義がある、日本はこういうものこそ残さなくてはいけないと言うのです。

非常に文化に対するリテラシーの高い方で、その意気に感じ、弊社でマスターリースをし、活用してくれる人を探すことになりました」(三好さん)

つたや夜景
つたや夜景。中央にあったスナックの名称が入った屋根はその後破れてしまった(写真:髙須賀哲さん提供)
凝ったつくり
凝ったつくりになっている(写真:筆者撮影)

レトロなバーオーナーがプロデュース

そこで2024年10月に「つたや」を舞台に熱海のまちづくり会社machimori主催でリノベーションスクールを開催、使い方を模索することになった。

リノベーションスクールとは実在の遊休不動産を対象に参加者が地域再生のためのビジネスプランを模索するというもの。参加者は「つたや」を内見、どう改修し、どう使うのがいいのかを検討した結果、まちの歴史を伝えていく場としての活用を探ることになった。

「不動産事業的には2階の8室をシェアオフィス、シェアハウスなどにするのが定石で収益も上がりますが、それではせっかくの建物を公開できない。そこで全室に誰もが入れるような貸し方をすることを考えています。

具体的には1階の、かつてお茶漬け店が入っていた区画に地元でバーを営む髙須賀哲さんが入り、1階の住居部分、2階8室はそれぞれに貸します。髙須賀さんには管理を委託、建物全体のプロデューサーとしての役割も担っていただくことになっています」(三好さん)

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