「タン塩にはレモン」と何の疑問も抱かずに振りかけている人に知ってほしい《誕生秘話》、ここまで定着したウラ側には"理にかなう理由"があった

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やはり、焼肉のオーダーは、

味の薄い部位
  ↓
味の濃い部位

と進んでいくことが基本です。

タンはさっぱりした味わいで、独特の歯ごたえがあり、食感を楽しめる部位です。もし脂の多いカルビなどを食べてからタンを食べてしまうと、カルビの濃厚な旨味が舌に残ってしまい、どうしてもタンの味の印象が薄くなってしまいます。つまり、淡白な味わいのタンを最初にオーダーするのは、非常に理にかなった行為なのです。

また、薄切りのタンは火の通りが早くて網にくっつきにくく、網が焦げにくいこともファーストオーダーとして最適な理由の一つになっています。

レモンが添えられている、まさかの理由

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最後に、タン塩に当たり前のように添えられているレモンについて。

諸説ありますが、ここにもユニークな歴史があります。なんと、タン塩にレモンが提供され始めた理由は、「お客のホステスさんが、熱々に焼いたタンが食べられなかったから」だと言われているのです。

「叙々苑」の1号店、六本木本店がオープンした頃のこと。当時、タン塩はまだ珍しいメニューで、焼いたタンをタレもつけず、熱々のまま口に運ぶスタイルでした。しかし、お客のホステスさんから「そのまま食べたら、やけどする!」と指摘を受けたそうです。

そこで、熱すぎるタンをどうにかできないかと試行錯誤する中で、たまたまそばにあったレモン汁をかけてみました。すると、レモンの爽やかな酸味と香りが熱々のタンの脂と絡み合い、さらに温度が下がることで、それまでとはまったく違う、さっぱりとした奥深い美味しさになったのです。

この偶然の発見が「タン塩にレモン汁をかけて食べる」という、今や当たり前のスタイルを生み出すことになりました。特に女性を中心に「さっぱりして美味しい!」と大人気になり、あっという間に全国の焼肉店へと広まっていったのです。

焼肉店でタン塩を食べる機会がありましたら、その一口に込められた「叙々苑」の工夫に思いを馳せて、ぜひ味わってみてください。

小関 尚紀 焼肉作家/お肉博士1級/MBA

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こせき なおき / Naoki Koseki

1970年、大阪府生まれ。サラリーマン作家。筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程後期中退。早稲田大学大学院ビジネススクール修了(アジア太平洋研究科修士課程国際経営学専攻/東出浩教ゼミ)経営学修士。修士論文は『キャラクター選好プロセスモデルの探索的研究』 現在、都内企業に勤務しながら作家としての活動を行う。
 

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