際限ない"欲"をコントロールする「週1断食」のススメ――大愚和尚が説く、人生を好転させる「欲望から離れる力」

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第1に、少しの量で、味付けがそれほど濃くなくても、「おいしい」と感じる感覚が戻ってきます。素材の味わいを舌がちゃんと感じ取るのです。

断食明けに「ドカ食い」せずに、1杯のすまし汁をていねいに味わってみてください。「たったこれだけのもので、自分の体がこんなにも喜ぶのか」と実感します。いままでいかに雑に食べていたかに気づくでしょう。

第2に、味覚が鋭敏になるのに引きずられ、ほかの感覚が研ぎ澄まされていきます。目に映るもの、耳に入ってくる音、鼻で嗅ぐにおい、肌で感じる風合いなど、あらゆるものの微妙な味わい深さを、五感がしっかりキャッチするのです。

第3に、不要な物を捨てたくなります。

少量の食事で満足できることを体験すると、たとえばタンスのひきだしを開けた瞬間に、「こんなにたくさんの洋服をため込んでいたのか」と驚きます。たくさんの物を持っているのに、なお満たされない思いを抱えていた自分に気づくのです。

これだけのメリットがあるのですから、これまでの「1日3食幻想」から離れて、「週1断食」にトライしてみてください。

最初のうちは体も「どうして食べ物が入ってこないの?」と焦って、食べ物を希求しますが、実践を続けるうちに変わってきます。ため込んだ余計な脂肪が落ちたり、体にたまった毒素が排出されたりなど、体の「自浄作用」が進みます。ぜひ、お試しください。

善き心に目を向ける

■「五観の偈」に学ぶ心の整え方

食事に関して、禅寺では、食事の前に唱える、「五観(ごかん)の偈(げ)」というお経があります。曹洞宗の開祖・道元禅師の著作『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』に引用されて、広く知られるようになりました。参考までにご紹介します。

「一つには功(こう)の多少(たしょう)を計(はか)り、彼(か)の来処(らいしょ)を量(はか)る」

私たちがいま食べているものは、誰がどこでどうつくってくれたのか。そして食卓に並ぶまでの間に、どういう人たちの手を経てきたのか、それを想像し、感謝しましょう。お米や野菜の値段が高騰しているいま、食事のありがたさがいっそう身にしみます。

「二つには己(おのれ)が徳行(とくぎょう)の、全欠(ぜんけつ)を忖(はか)って供(く)に応ず」

それだけの手間やご苦労を経て命をいただいていると思えば、自分もそれに値する生き方をしなくてはいけないと、心が引き締まります。自らの行動を深く自省しましょう。

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