とりわけ現代は、欲しいと思ったものがすぐに手に入る時代です。いたるところにコンビニやスーパー、ショッピングセンターがあって、物があふれているし、ネットでポチッとすると数日で物が送られてきますからね。
そうやって短時間で欲望を満たすことを繰り返していると、欲望は加速度的に大きくなる一方です。
また困ったことに、私たちは刺激に対して「すぐに馴染んでしまう」ところがあります。たとえば遊園地の“絶叫マシーン”にしても、昔は浅草の花やしきにあるローラーコースター程度のもので十分スリリングだったのに、いまや東京ディズニーランドのビッグサンダー・マウンテンでも物足りなくなるくらいです。
食べ物だと、激辛ラーメンのようなものもそう。最初は「辛メーター」が2倍ほどで驚くほど辛く感じても、何度も食べるうちに5倍、6倍と、刺激への欲求がどんどん高まっていきます。
欲がエスカレートしていく
視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚……あらゆる感覚は、一度刺激を受けるとすぐに慣れて、もっと強い刺激をと、欲がエスカレートしていきます。
こんなふうに欲望を増大させていくと、身心の健康に悪影響をおよぼします。買い物依存症になったり、過食による肥満や、偏食による体調不良に陥ったりなど、いいことは何もありません。
それに欲望が満たされて幸福感が得られるのは、じつはとても短い時間です。ほんの刹那。そのあとはむしろ虚しさのようなものが襲ってきます。
だったら、そろそろ「欲望を満たすこと=幸福」という誤った方程式から離れたほうがいいでしょう。欲望を満たすことと幸福感の間に比例関係はないのです。
■週に1度の断食をすすめる理由
では具体的に、欲望をコントロールするにはどうすればいいでしょうか。これはとても難しい課題ですが、「食欲」を抑えることからはじめると、意外とうまくいきます。
食欲は欲望の象徴ともいえるもの。その食欲のハードルをぐっと下げることができれば、ほかの欲望にもよい影響をおよぼすことができるはずです。
そこで私がおすすめしているのは「週に1度でいいから、食事を抜く」ということです。これを実践すると、自然と欲望のハードルが下がります。
「1日3食、規則正しく食事をしないと、体に悪いのでは?」と心配する人もいるでしょうけど、それは単なる思い込みにすぎません。「お腹も空いていないのに、時間がきたら食べる」ほうが、カロリーオーバーを招くので、体にはよくないと私は考えます。
週に1度の断食で何が起こるでしょうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら