批判されたクリエイターが自ら解説し共感を獲得。万博の情報発信課題が次回イベントに残した反省点

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引地耕太氏は「誤解してほしくないのは、これは『未来の公共への投資』なんです。」、「みなさん、何故あれだけ叩かれていたミャクミャクをはじめ万博のデザインの評価が開幕後に、これだけ『綺麗にひっくりかえる』現象が起きたと思いますか?」といった具合に、聴衆と対話をするように、万博の意義や意味、背景、デザインの工夫で起こせる変化について解説を続けている。

建築家・藤本壮介氏が現在Xのプロフィールに固定している万博の意義を説明した投稿
建築家・藤本壮介氏が現在Xのプロフィールに固定している万博の意義を説明した投稿は1500回以上再投稿され173万人以上が見て、賛否両論の大きな議論を巻き起こした(画像:藤本壮介氏のXより)

組織人だけではできなかった内側からの問題提起

今回、万博批判として大きな話題になったものに、若手建築家によるトイレの設計もある。会場デザインプロデューサーの藤本壮介氏の発案で今後の活躍が期待される40歳以下の建築家に作らせたものだ。万博会場には大坂城で使われなかった石で作られたトイレやレゴブロックのようなカラフルなトイレ、休憩所などこれまで見たことのない斬新なアイディアで作られたトイレや休憩所施設が20近くある。

こうしたトイレについても建築費用や整備費用が批判され、トイレの1つは解体費込みで2億円近くかかるということで、「2億円トイレ」と呼ばれ大きな批判を受けた。

齋藤健経済産業相(当時)が「一般的な公衆トイレの建設費用と比べて、取り立てて高額であるとは言えない」と述べた後も批判は止むことがなかった。

そのうち建築の専門家らも参戦し、他の若手建築家トイレについても動線設計や頭上に石を吊った休憩スペースの安全性などを問題として指摘し大炎上した。

その後、yuricadesign&archi主宰の竹村優里佳氏や米澤隆氏ら若手建築家は藤本氏に倣うように、それぞれの作品の背景について丁寧な説明を行った。すると次第に、これらのトイレも人気が高まり、わざわざこれらのトイレの写真を撮りに行く人も増えてきた。「2億円トイレ」も今では愛情のこもった愛称として使っている人が少なくない。

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