批判されたクリエイターが自ら解説し共感を獲得。万博の情報発信課題が次回イベントに残した反省点
一時は、これで批判がさらに加熱したが、次第に状況を理解し応援する声も増え始めた。藤本氏は、その後もソーシャルメディア上で批判されている話題について、丁寧な説明を繰り返した。
藤本氏は、1970年大阪万博の時、岡本太郎さんは一般の人からだけではなく、アートの内部からも相当批判されたとし、国家的プロジェクトで、しかもSNSが普及している現在、プロデューサーを引き受けたからには相当な批判があることは覚悟していたと語っている。
万博協会など組織の人間は説明したいことがあってもなかなか自由に発言できない。これに対して自身の発言に責任を負うことができる関係クリエイターであれば、そうした制約に縛られず、率直で具体的な説明をすることができる。制作に関わったクリエイターでも、プロデューサーより下の立場の人は秘密保持契約などがあり自由に発言ができないが、藤本氏のようなプロデューサーレベルにある程度の発言の自由が許されていたのは幸運だったと言えよう。
クリエイターによる解説と問題提起が関心を集めた
今回の万博では、この藤本氏に加え、8つのシグネチャーパビリオンを手掛ける8人のテーマ事業プロデューサーの1人、アーティストの落合陽一氏や「こみゃく」(正式名称:ID)という2025年大阪・関西万博の会場デザインの仕組みを作った引地耕太氏という2名の企画・制作側関係者がX上で積極的な発信を行い万博に関する多くの誤解を解き、共感を生み、そして表からは見えない問題の本質を浮き彫りにした。
落合陽一氏は、ただ指摘された問題について釈明するだけでなく、内幕を知る1人として数々の問題を生み出す根本の原因について鋭い指摘を続ける。特に指摘を続けているのが、コスト構造の問題だ。
2月には関西財界セミナーの席上で今回の万博は「非常にコスパが悪い」、「ドバイ万博の数倍お金をかけないと、同じクオリティーのものが作れない状態になっている」と説明しこれがネット上で大きな議論になった。その結果、各パビリオンや催し物が「めっちゃお金をかけるか、スケールダウンをしたものを受け入れるか」の二者択一を迫られていると語っていた。
その後も落合氏はnoteに自身のパビリオンの詳細解説だけに留まらず、1970年万博との状況の比較など詳細な分析を掲載し、X上でも万博裏のコスト構造の問題について赤裸々な発信を続けている。
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