批判されたクリエイターが自ら解説し共感を獲得。万博の情報発信課題が次回イベントに残した反省点
イベントが終わってからであれば、なんとでも言えてしまうが、人々の記憶が風化する前、会期中から、この議論を始め、改善の実験をすることができれば、大きな意味があると思う。
なお、大阪・関西での万博は10月半ばに終了するが、5年後の2030年にサウジアラビアの首都、リヤドで再び万博が開催されるし、2年後の2027年には再び日本の横浜で国際園芸博覧会 (GREEN×EXPO 2027)を開催することが決まっている。それに備えて良いところは踏襲し、悪いところは先手を打って防いでおく必要がある。
万博の課題。取り上げるべきテーマは多々あるが、この記事では万博のニュースや評判を含む情報の発信や流通、とりわけ公式サイトとソーシャルメディア上での情報に焦点を当てたい。
ソーシャルメディア上は不評で始まった万博だが
大阪・関西万博は、開幕のはるか前から開催の是非を問う声が主にソーシャルメディア上で話題になった(ちなみに1970年の万博も、同様の議論はずっと続いていた)。
ほぼ毎週のように新たな問題点が議題に上がり、その度に大きなネット炎上となった。開幕直前にも、多くのパビリオンの工事が開幕に間に合わないという噂がまことしやかに囁かれていた。確かに開幕に展示準備が間に合わない国はあった。しかし、それは出展を決めた全158カ国のうち、わずか5カ国だった。ただし、散々悪い噂が続いたためか、人々の万博に対する期待値は低かった。開催初日は一般来場11万9000人、関係者を合わせると14万1000人と多かったが、その後しばらくは来場者がこれを大きく下回り、失敗や黒字化が難しいといった烙印が押された。
しかし、ゴールデンウィークが終わった頃から状況が変わる。ゴールデンウィーク中に万博を訪れた人々による高評価がソーシャルメディア上に溢れ始めたのだ。
5月のアンケート調査では79.7%が「満足」(「やや満足」を含む)、84%が再訪を希望と答えた(*1)。
特に風向きに大きな影響を与えたのが古代ローマ時代の彫刻「ファルネーゼのアトラス」やレオナルド・ダ・ヴィンチの素描、カラヴァッジョの作品など多くの「本物」を持ってきたイタリア館の評判だ。これらはテレビなどのニュースでも取り上げられていたはずだが、決められた枠での通り一遍の紹介よりも、それらの価値を知る人々によるソーシャルメディア上での熱い解説が大きな共感を生んだ。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら