日立グループの強みを生かし、コマツと肩を並べたい--日立建機社長・辻本雄一
当社は事業部制を採っていて、地域事業部、製品事業部というような縦糸はしっかりしている。ただし、地域と製品の連携などという横串をうまく通せていない。
たとえば、ある製品の生産を日本からインドネシアに移管するときに、海外調達先から部品をいったん日本に送り、それをインドネシアに送り出すということや、売れる製品の在庫がないのに売れない製品の在庫がある、という非効率な状況が生じている。そうしたことが、営業利益の差に表れている。
──日立グループとの連携についてはどうしますか。
ここ数年、製品に親会社の日立製作所の技術がどんどん入るようになった。人の交流や共同研究なども急速に拡大している。今、当社は鉱山機械に注力しており、鉱山用の大型油圧ショベルでは世界で30%以上のトップシェアがある。一方、大型ダンプトラックは参入が遅かったので、まだ10%弱。キャタピラーとコマツを追いかけている立場だ。
そのダンプで日立製作所と共同開発した、エンジンで発電機を回してモーターを駆動させるAC駆動式の製品が好評だ。これでダンプのシェアを伸ばし、将来的には3割取りたい。他社にもAC駆動式ダンプはあるが、ACドライブをシーメンスやGEから購入している。
AC駆動式ダンプだけでなく、昨年発売したハイブリッド油圧ショベルや全世界の機械から稼働情報を吸い上げるe−サービスという情報システムも日立製作所の協力があってこそ生み出せた。日立グループにはさまざまなノウハウを持った企業があるので、われわれが思いもしない技術が建機に利用できるはずだ。