年に一度のノンストップ山手線に乗ってみた

大崎発・大崎行き団体貸切列車の正体とは?

イベントの発案者である綱嶋さん(撮影:尾形文繁)

せっかくニュー・シティができたのだから、この場所を使ってイベントを行いたい。そう考えた綱嶋さんは地元関係者を説き伏せ、「しながわ夢さん橋」の実現にこぎ着けた。

単なるイベントではインパクトが弱い。何をすべきか、メンバーで知恵を絞った。出てきた意見は「大崎は山手線の駅では最も知名度が低い」というもの。それを逆手に取った。つまり、大崎で最も有名なものは山手線ということになる。

そもそも山手線は大崎が発着駅だ。山手線の車両基地もある。「大崎=山手線」という発想は間違ってはいない。そこで、山手線を貸し切りにして、ノンストップで走るというアイデアが生まれた。

周囲からは「絶対に無理」と諭されたが、綱嶋さんは「そんなの、やってみないとわからない」。持ち前の行動力で実現にこぎ着けた。

なぜ28年も続いているのか

いわゆるイベント列車の場合、盛り上げ効果を狙って列車の外装や内装を飾り立てるが、「夢さん橋」号は予算がないので飾り付けは一切なし。ここでも綱嶋さんは逆転の発想をする。「普通の山手線が駅を通過して、ホームにいる人がびっくりするところに面白さがある。わざわざ飾り立てて違う列車にしたら面白くない」。

予算がないので、車内で子供たちに配るプレゼントは企業からの協賛品。「不要になった販促グッズでも何でもいい。型落ちした自動車のパンフレットだって、子供たちは大喜びです」。

参加者を引率するスタッフもボランティアだ。いつもは笑顔を絶やさない綱嶋さんも、ボランティアへの事前研修時には鬼の形相になる。「動く車両を使ってのイベントは安全第一。もし一度でも事故を起こしたら、このイベントはつぶれる。だからボランティア気分ではなく、真剣に取り組んでもらいたい」。

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