都会の非電化貨物線「越中島支線」旅客化できるか 亀戸から臨海部へ、かつては「新橋直通」の構想も
東京都港湾局専用線に至っては1989年までに全廃。南砂町線は東京都が都道306号(明治通り)沿いに建設用地を確保したが、それ以上の動きがないまま計画は事実上凍結されてしまった。

越中島支線は、第2常磐線(現在のつくばエクスプレス)のルートとして部分的に旅客化する案(この経緯は2025年6月28日付記事『かつて半蔵門線直通案も、葛飾の「新金線」秘史』参照)が浮上したことはあったが、これも実現していない。貨物列車も1997年までに定期運行を終了。2000年には小名木川貨物駅が廃止された。
現在の越中島支線は、越中島貨物駅に併設されているJR東日本のレール集積拠点「東京レールセンター」にレールを運び込む臨時の貨物列車や、東京レールセンターからJR東日本の各線へレールを輸送する業務用の列車が運行されるだけになった。
LRT構想が再調査へ
ただ、越中島支線を旅客化しようという動きはいまも断続的に続いており、江東区は2002年度に南北交通の改善などを目的に調査している。
江東区が2003年3月にまとめた調査結果では、当面の整備区間を亀戸駅―新木場駅前の約6kmとし、起終点含め10駅を整備。このうち亀戸駅から越中島貨物駅の少し手前まで越中島支線の敷地を活用し、その先の新木場駅前までは都有地(南砂町線の用地)を活用するものとした。

導入する交通システムは路面電車タイプの軽量軌道交通(LRT)を想定。亀戸―新木場間の所要時間は15分以内とし、路線バス(亀戸駅通り―新木場駅前間が現在の所定ダイヤで25~34分)に比べ10~20分程度の短縮を図る。運行間隔は複線整備で5分、単線整備で10分としている。これらの条件に基づく概算建設費は単線整備で116億~146億円、複線(一部または全線)整備で154億~204億円とした。
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