"人生100年時代"を喜んでばかりはいられない…「昭和の親孝行」は、もはや"無理ゲー"という深刻

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このような経済状況のもとで、子が親の生活を支えることは極めて困難です。住宅ローンを抱え、教育費、そして老後資金の準備もままならない状況で、さらに親の生活費や介護費用を負担することは、子の生活破綻を招きかねません。

「親の面倒は子が見るもの」という昭和の時代の前提が崩壊している以上、経済的支援を含む「期待に応える親孝行」モデルは、もはや現実的な選択肢ではないのです。

③家族形態の多様化と核家族化の進行

昭和の時代には、三世代同居が比較的多く、親の介護は、嫁や娘が中心となって担うことが期待されていました。また、兄弟姉妹が多いため、介護を分担することも可能でした。

しかし、現代は核家族化が著しく進行し、親と子が離れて暮らすことが一般的です。未婚化、晩婚化、少子化も進み、1人っ子も増えたことで、親の介護を1人、あるいはごく少数で担わなければならないケースが増加しています。

また、共働き世帯が一般的になり、女性が社会で活躍するようになった現在において、「嫁が介護をするべき」という旧来の価値観はまったく通用しません。

家族の形が多様化し、個人の生き方が尊重される現代において、家族の中の特定の人間、嫁や娘に介護の全責任を押しつける「期待に応える親孝行」モデルは、家族の崩壊や個人の犠牲を生み出す原因となります。

「家族への貢献」よりも「自己実現」

④個人の価値観の多様化と自己実現の追求

昭和の時代には、親の期待に応えることが最重要であるという価値観が根強くあり、個人の自己実現よりも家族や社会への貢献が重視される傾向がありました。

しかし、現代は個人の価値観が多様化し、自己実現の追求が当たり前になっています。キャリアアップ、趣味、自由な人間関係など、人それぞれが自分らしい人生を送ることが重視される時代です。

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