"人生100年時代"を喜んでばかりはいられない…「昭和の親孝行」は、もはや"無理ゲー"という深刻
①劇的な平均寿命の伸びと超高齢社会の到来
昭和初期の平均寿命が50歳未満だったのに対し、現代の日本は世界有数の長寿国となり、平均寿命は80歳をはるかに超えています。親が健康で自立して生活できる期間が延びた一方で、介護が必要となる期間も長期化しています。
昭和の時代であれば、子が30代、40代の頃に親の老後が訪れ、比較的短期間の介護で済むことが少なくありませんでした。
ところが、現代では、子が50代、60代になってから親の介護が始まり、親が90歳、100歳を超えるまで、10年、20年といった長期間にわたる介護が必要となるケースも増えています。
これは、介護を担う子自身の人生設計に甚大な影響を及ぼします。自身の子育てと親の介護を同時に行わなければならない「サンドイッチ世代」の負担は計り知れません。
さらには、子が自身の老後や健康問題に向き合い始める時期に親の介護が重なるようなことも起こっています。
長期にわたる介護は、個人の時間、経済力、精神力を著しく消耗させます。子が親の老後を全面的に引き受ける「期待に応える親孝行」モデルは、この長期化する介護期間という現実の前に、もはや実現不可能となっているのです。
子に「親の生活を支える」余裕がない社会構造
②経済構造の変化と不安定化する雇用・賃金
昭和の時代は、終身雇用制度が一般的で、年功序列によって賃金も順調に上昇しました。そのため、子が親に仕送りをしたり、経済的に援助したりすることも比較的容易でした。
しかし、現在では経済構造が大きく変化し、雇用や賃金は安定性を失っています。
非正規雇用の増加、成果主義の導入などが当たり前になり、若年層だけでなく、中年層でさえも安定した収入を得ることが難しくなっています。物価が上昇する一方で、実質賃金は伸び悩み、誰もが将来への不安を抱えるようになりました。
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