「論破は三流のやること」Z世代を巧みに動かす一流の上司が、言葉を使わない決定的な理由

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理屈武装 Z世代
理屈で武装するZ世代への対処法について解説します(写真:metamorworks/PIXTA)

「そのご提案は、3つの点で非論理的です」

まさか新入社員の口から、こんな言葉が飛び出すとは思わなかった。営業会議で新規開拓の方針を説明していた課長は、一瞬言葉を失った。Z世代の部下は、データを片手に課長の提案の矛盾点を次々と指摘。その口調には、議論を深めるというより、相手を追い詰めるような響きがあった。

職場の空気は凍りついた。課長は関連部署との交渉の末、ようやくこぎ着けた方針だっただけに、顔を真っ赤にして反論しようとしたが、それを制したのは隣にいた部長だった。「貴重な指摘をありがとう。その視点は一度持ち帰って検討しよう。まずは、プランの全体像を皆で共有したい」。部長は冷静にそう言って、議論を本筋に戻した。

今回は、このように理屈で武装するZ世代への対処法について解説する。部下との関係に悩んでいるマネジャーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

なぜ彼らは「論破」したがるのか

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最近の若手には、相手を言い負かすことを「議論に勝つこと」だと捉える傾向が見られる。これはSNSなどで「論破」がエンターテインメントとして消費される影響もあるだろう。論破が「頭の良さ」の証明だと勘違いしている。

しかし、そもそも自分のことを「論理的だ」と信じ込むこと自体、危うさをはらんでいる。正直、私は痛々しいと思っている。それこそ論理的におかしいのではないか。私が研修でよく行う質問を紹介しよう。

「自分は論理的か、感覚的か、どちらだと思いますか?」

経営者や管理職の大半は「どちらかというと論理的」と答える。そこで私はすかさず次の質問をする。

「その根拠を教えてください」

すると、ほとんどの人は明確に答えられない。「過去の経験を振り返ると、なんとなくそう思うから」といった、きわめて感覚的な答えが返ってくる。

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