マンション管理組合が国債投資へ動き始めた背景、数億円の修繕積立金をインフレ防衛

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「貯蓄から投資へ」の流れがマンション管理組合にも波及しているPhotographer: Kosuke Okahara/Bloomberg

「貯蓄から投資へ」の流れが、マンション管理組合にも波及している。インフレで建材や人件費が高騰する中、従来は銀行に預けられることが多かった修繕積立金を国債など債券で運用する組合も現れ始めた。

「運用をしないと目減りしてしまう」

2009年竣工のイニシア千住曙町(東京都足立区)は、8億円超の修繕積立金を守るため、国債の購入に向けて準備中だ。管理組合法人の代表理事を務める應田治彦さんは、「運用をしないと目減りしてしまう」と危機感をあらわにする。

ここ数年のインフレや円安で部品調達代が高騰し、修繕費用が予算を超えてしまうケースが相次いだ。「5年ぐらい前は60万円程度でできた自動ドアのモーター交換に、今は100万円ぐらいかかる」と應田さんは話す。

建設工事費用を調査する建設物価調査会によれば、8月の建設資材物価指数は142.8だった。同指数は2015年平均を100として算出しており、10年で4割超上がったことになる。

イニシア千住曙町の取り組みは、インフレと日本銀行の利上げにより、日本人の資産防衛意識が変化していることを示す最新の事例だ。これまでマンション管理組合の大半が、修繕積立金を銀行に預けており、債券を購入できるように規約を整えることさえしていなかった。

イニシア千住曙町ではマンションの規約を約12年前に見直しており、以前から国債や地方債を買うことができた。それでも13年4月から10年超続いた大規模金融緩和政策下では、金利も物価も上昇せず、選択肢に入らなかったという。

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