マンション管理組合が国債投資へ動き始めた背景、数億円の修繕積立金をインフレ防衛

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一方で国債や社債の購入は、どのマンションでもできるわけではない。多くの場合、管理組合として購入する際、社債は購買単位が最低1億円程度で、一定の資金がないと買えない。また運用には下準備や人的なリソースも欠かせない。イニシア千住曙町など三つのマンションでは、いずれも管理組合が法人化されて証券口座を開きやすくなっていたほか、住民に金融やマンション管理に詳しい人もいた。

より身近な選択肢として、管理組合向け債券の購入が考えられる。

住宅金融支援機構が発行する「マンションすまい・る債」の25年度分への応募は、8月末時点で1672組合と前年同期に比べて約3%増えた。増加の理由について同機構では、昨年度を上回る利回りなどが好感されていると分析する。

積立金の重要性を認識していない購入者も少なくない

一方、購入時の説明や、積立金の算定根拠になる修繕計画などを巡ってまだ課題がある。

明海大の小松氏は、物件の売却時に、長期修繕計画に基づいた積立金の今後の見通しなどの説明が義務付けられていないとして、積立金の重要性自体を認識していないマンション購入者も少なくないと話す。また、インフレ局面でも依然として多くのマンション管理組合が、修繕計画で物価上昇率をゼロに設定しているという。

老後、公的年金以外に2000万円の蓄えが必要になるとの試算が示され、資産形成への関心が高まったことを引き合いに、「今後の修繕計画と幾ら足りないか」について明確に提示される環境にならなければ、運用に動く管理組合の増加にはつながらないと、小松氏は指摘した。 

著者:香月夏子

ブルームバーグ
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