「私は産地偽装していない」社長が訴えるも"犯人視報道"で経営悪化…不起訴になっても続く「冤罪の地獄」
並木商店の男性は任意の取り調べの段階から捜査に協力し、容疑については一貫して否認していた。にもかかわらず、委託先の代表者の共犯者と疑われて逮捕されたためか、多くの報道は「認否を明らかにしていない」などと警察から聞いた内容をそのまま報じた。
日経新聞は「納入業者による産地偽装が目立っている」との文脈でこの事件を取り上げていたが、被疑者側の主張を伝えたのは、確認できた限り、朝日新聞だけだった。
朝日新聞は、並木商店にも取材して「国産の料金で見積もりを受けて納品されて、それを信用していた」というコメントを盛り込んでいた。

給食に関する産地偽装事件で男性の逮捕を報じるマスメディア各社の記事(弁護士ドットコムニュースが作成)
大川原化工機の冤罪事件と重なる構図
こうした報道のされ方は大川原化工機の冤罪事件と重なる。
同社の社長ら3人は当初から一貫して容疑を否認し、会社としても事件への関与を否定していた。だが、その声を掲載したのは、読売新聞と毎日新聞だけだった。
「被疑者の認否を明かさない」とする警視庁発表をそのまま報じた社があった点も今回と同じだ。
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