タモリの半生には日本戦後史が詰まっている

糸井重里と近藤正高が語り尽くした!

近藤:動物としてのリズムではなく、機械のリズムに合わせるようになったわけですよね。

糸井:そうそう、機械しか無理だよってところに人間をはめたから、もう僕なんかでさえ忙しくてしょうがないわけですよね。さっきも「ジャムを煮てるときには、特に物を考えなくていいんですよ」とか言ってたんだけど、よく考えたら、そんな短い時間を貴重扱いしてるって、おかしい(笑)。本にしたって、ひと月に誰かひとりぐらいが「あれ、面白かったねえ」と言っているのを聞いて、「じゃあ俺も読んでみようかなあ。来月、紀伊國屋に行って買ってこよう」みたいに思ってたわけで。それがいま、読もうと思ったらすぐ手に入っちゃいますからね。

近藤:ネットで注文すればすぐ届きます。

糸井:それによって得られたものと失われたものっていうのはやっぱりありますよね。その両方の時代に足を掛けてるのが、タモリさんなんだと思います。

プログラマー的発想

近藤:2014年3月の『笑っていいとも!』終了からもタモリさんは忙しそうですね。今年9月に『ヨルタモリ』も終わりましたが、今でも毎週『ミュージックステーション』に生出演して、『タモリ倶楽部』と『ブラタモリ』でロケに出てますし。

糸井:律儀にまじめにやんないとできないことをちゃんとやってますよね。

近藤:ええ、そうですね。

糸井:それはやっぱり楽であるはずがないんですよ。そこに僕は、テレビに出てる人が実はしっかりしてるっていうのを痛切に感じますね。不摂生なことやってると、顔がむくみますから。でも、タモリさんは70歳になったいまも身ぎれいでしょう。スーツもいいものを仕立てでつくって着てますよね。同時に、そのいいスーツに合わせた顔をちゃんとできてる。人に見られる仕事をしている人の責任感みたいなところを維持できているっていうのは、やっぱり並大抵じゃないですよね。

近藤:それでいて、本人は努力してるとか一切言わない人ですからね。

糸井:そうですね。だから、やれちゃうんでしょうね。この本を読んでわかったけど、タモリさんは九州でボウリング場で支配人をしていたころもまじめにやってますよね(笑)。

近藤:すごくまじめですね。そのころのタモリさんを知る人は口々に「あれほどまじめな人はいない」と言ってましたから。

糸井:ボウリング場時代のタモリさんの話で僕がちょっとだけ聞いたのは、当時のボウリング場に勤めてる人たちには社会に貢献するという意識が希薄だったから、それをコントロールしていくのは大変だったみたいなことを(本人が)言ってた覚えがあります。

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