タモリの半生には日本戦後史が詰まっている 糸井重里と近藤正高が語り尽くした!
近藤:そのなかでタモリさんはまじめにやってたんですよね。もともとメカに強いから、設備のメンテナンスなどしてもらおうと、ボウリング場にヘッドハンティングされたらしいですが。
糸井:それもおかしいなあ。
近藤:そのあと、(福岡の)中洲のフルーツパーラーでバーテンダーをやっていたときも、店と併設の駐車場に止めてあった車が故障したので、タモリさんが修理したそうです。
糸井:何ていうんだろうな、プログラマー的発想みたいなものがありますよね。それで問題を解決しちゃうという。
近藤:ああ、それはありますね。
糸井:いい加減な人たちは、それで答えが出るわけじゃないのに、すぐ感情的になっちゃうんだけど、タモリさんはそういうのに対してすごく冷静に、「何やってんだろうね」ってあしらいますよね(笑)。で、しかもそういう人を切り捨てるんじゃなくて、「よしよし手伝ってあげましょう」じゃないけど、ひとりずつ世話してあげてる気がしますね。
近藤:『いいとも!』でも、「テレフォンショッキング」で隣りの席に乱入者が座っていたときに、タモリさんは落ち着き払って対処していましたが、それはやっぱり問題解決能力が高いからでしょうね。
おじいちゃんの無責任性といま
糸井:あと、自意識と自己顕示欲というのがもし違うものだとすると、自己顕示欲は十分にあるのに自意識は少ないみたいな、そういうタイプの人間ってよくいるんですけど、(自分もタモリさんも)そっちに入るんじゃないですかね。タモリさんのイグアナのモノマネをするときの夢中ぶりとか、まさにそうでしょう。あれは自己顕示欲でやってるけど、自意識ではないですよね。
近藤:そもそもイグアナには自意識なんてないでしょうから(笑)。タモリさんが動物のモノマネが好きというのは、そういうことなのかもしれませんね。内面がないから。
糸井:内面がない、あるいは薄い。
近藤:薄いんでしょうね。だからこそ適応力が高いのだともいえそうです。