「これ絶対記憶あるって」「もうエンタメだろ」との心ないコメントも…島根で発見《記憶喪失の男性》をめぐる反応に"決定的に欠けた視点"
善意ばかりではなく悪意の声も入り乱れ、それがデジタルタトゥーとして残る怖さをあらためて感じさせられます。
田中さんが出演した番組を手がけたABCテレビは、有力情報が寄せられたことで、「ご本人の今後の生活や社会的影響を鑑み、削除しております」と記事の削除を発表。
その対応は「最低限の責任をきちんと果たしている」「メディアの手本」などと評価されているものの、顔や発言などがネット上に残り続ける「焼け石に水」の状態であることに変わりはありません。
さらに「今回の件はこれで終わりになるのか」といえば、いくらかの不安を感じさせられます。テレビが個人への配慮から続報をしなくても、個人がYouTubeやXなどのSNSに田中さんの姿をアップするリスクを完全に解消することは難しいでしょう。
なかには興味本位や再生数アップなどの「悪意はないから」という前提でSNSにアップする人も現れそうですが、それが本人を傷つけかねない行為であることは間違いありません。
ただ、あまり悪意のない行為は未然に防げるものであり、これを予防するために必要なのは、いい意味で想像力を持つこと。その後、田中さんはどんな心境で、どんな暮らしを送っているのか。もし自分ならどう感じていて、どう過ごそうとするのか。
推測でいいのでこれらを一歩掘り下げて考えることが、無用に当事者を傷つける行為の抑制につながっていくでしょう。
ではどんなことを考えていけばいいのか。
身元の判明と記憶の回復は別問題
田中さんは寄せられた情報から身元を確認するほか、身内として名乗り出た人と面会するのでしょう。さらにそこで得た新たな情報をもとに記憶を取り戻そうとすることが推察されます。まずはその様子を想像することからはじめてみましょう。
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