「これ絶対記憶あるって」「もうエンタメだろ」との心ないコメントも…島根で発見《記憶喪失の男性》をめぐる反応に"決定的に欠けた視点"

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さらに記憶喪失をめぐるドラマのような展開は続きます。

テレビ番組で情報提供を呼びかけたところ、身を寄せている福祉団体に家族や同僚とみられる人から「都内在住の40代男性ではないか」という情報が相次いで寄せられました。しかもその数は電話やメールでおよそ300件。福祉団体は「きわめて有力な情報」とみているほか、田中さん自身「大きな前進になりました」と喜んでいるようです。

アパレル店
神奈川県にあるアパレル店のブログに、田中さんにそっくりな人物の写真が載っているとSNSで話題に。当該店は「こちらで判明した情報は、すべてNPO法人ぴあらいふ様にお伝えしております。(中略)弊社スタッフではございません」とコメントを出した(写真:アパレル店の公式サイトより)

この報道で驚かされたのは、アッという間に有力情報が集まったこと。ネットが発達・浸透した現在では、それを利用すればかなりのスピードで問題を進展させられることが実証されました。

ネットがこれほど発達・普及していない時代は、「テレビ番組で公開調査が行われ、スタジオに設置された多くの電話に情報が寄せられる」というシーンを覚えている人が多いのではないでしょうか。

ただ、テレビ番組による公開調査はその効果が放送中にとどまりやすく、リアルタイムで見ていない人には拡散されづらいなど、影響力は限定的だっただけに時代の変化を感じさせられます。

個人が続報をアップするリスク

しかし、田中さん自身、メディア出演することで「いいこと悪いことがあるとは思う」と語っていましたが、ネットを使った公開調査はメリットばかりではありません。「個人情報がネット上で拡散され、残り続ける」「真偽不明の噂話が広がってしまう」「誹謗中傷に悩まされる」などのリスクが考えられます。

実際、今回の件を報じた動画のコメント欄には、「これ絶対記憶あるって」「ニュース番組に出演している時点でもうエンタメだろ」「記憶喪失なんてうらやましい」「どう考えてもやばい奴」「あの髪型もまともではない」「タレントになるのかな?すべて嘘だから」などの心ない声が書き込まれていました。

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