イスラエルのガザ地区攻撃、ロシアのウクライナ侵攻「ジェノサイドを伴う現代の紛争」の自己正当化を図る犠牲者意識ナショナリズム

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ジェノサイドを伴う現代の紛争の根底にあるものは何か。たとえばガザやウクライナでの戦争のような——。
私は、グローバル・ヒストリーの研究者であり記憶研究を続けてきた学徒としての答えを拙著『犠牲者意識ナショナリズム』で提示した。こうした悲劇的な衝突の前段には「記憶の戦争」がある。
それは、解消されていないトラウマと失敗した和解によってもたらされる衝突である。歴史的な和解を成し遂げようとする記憶外交は、草の根レベルに根付いた強固なナショナリスティックな記憶に妨げられて失敗を重ねてきた。
犠牲者意識ナショナリズムを犠牲にすることで、連帯の記憶と歴史和解へ向けた地球規模の「記憶体制」の構築に拙著が寄与することを願っている。記憶体制とは、長期的かつ持続的に社会を規律する構造化された力としての集合的記憶とそれが作動するメカニズムのことである。
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