未来工業が「ドケチに徹底的にこだわる理由」を書く前に、まずは筆者が取材中に目にした「山田式ドケチ」の数々を紹介したい。今回は、ある意味でとても象徴的な「ドケチな節電」傑作ベスト5を取り上げる。
山田式「ドケチな節電」傑作ベスト5
本社の廊下はいつも真っ暗。そんな上場会社は日本中探してもないはずだ。「日差しが入る社内の廊下や窓際の席は、日没まで蛍光灯をつけない」というから恐れ入る。
取引先の来社や企業の団体見学などの予定が入っていても、その時間帯以外は、本社玄関や2階の製品展示スペースの照明は、基本的に常時すべて消されている。ちなみに仕事の効率化のため、玄関先には「請求書箱」が置かれている。
電気代の節約は、玄関や廊下が真っ暗だけにとどまらない。社員一人ひとりの席の頭上にある蛍光灯には「引きヒモ式スイッチ」がついており、席を離れるときは、自分でこまめに消灯しなければいけないのだ。
しかも驚くことに、引きヒモの先には、「社員名」が書かれた名札が付けられている。「マイ蛍光灯」の意識を持たせるための工夫だが、この名札は社員提案制度で採用されたアイデアで、自社製品に取りつけるプラスチック製タグ(識別札)の2次利用。その使い回しと節電で、一石二鳥のドケチぶりだ。
社長室がある本社2階には、廊下にある蛍光灯すべてが一度に点灯するスイッチがある。しかし、そのスイッチには、なんと「さわるなバカ!!」と書かれた張り紙で隠されており、これは1985年の本社竣工時に社長だった山田氏の直筆だ。
社長が「さわるなバカ!!」と書いて、蛍光灯スイッチに張り紙する大人げなさには、もはや苦笑するしかない。その絶妙なユーモア感覚が、ドケチな節電部門第1位の理由。
蛍光灯ひとつとっても、ここまで徹底するドケチぶり。その狙いは何なのか?
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