「問題はそこ?」 確かに違法行為はなかったかもしれないが…サントリー新浪剛史氏「潔白主張」の"開き直り会見"に覚えた違和感

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

第2に、その著名な健康アドバイザーが、サプリメント入手には深く関わっており、今回はその方の弟経由で新浪氏の自宅に突然配送されたという、きわめて複雑で、わかりにくい流通ルートです。

さらにはその転送を経て自宅に届いた商品を、新浪氏の家族が受け取ったが廃棄したという経緯。

出所不明な郵便物が届くことへの備えは安全管理や危機管理上、当然の措置です。ただその場合は、そもそも訳のわからない郵便などは受け取り拒否にするはずです。受領してしまえば、廃棄するにしても中身を確認しなければならず、そのプロセスが残っていては安全管理になりません。

第3は、やはりサプリメントを製造する巨大メーカーのトップとして、今回問題とされる成分、CBD製品の残留THCへの無防備さです。グレーな部分もありえることなどについて、トップがどこまで認識しているか、少なくとも危機管理上は十分警戒すべきものなのではないでしょうか。

今回、日本でも同じものが売られているが、海外のほうが安価に手に入るので、海外から購入したと説明した新浪氏。しかし、自身の立場を考えれば、わざわざリスクを負ってまでやることなのか、疑問に思います。

サントリー会長として求められる資質

大ヒットビジネス漫画『島耕作』シリーズで印象的なシーンがあります。

主人公・島耕作の上司で、島に影響を与えた人物として知られる、中沢喜一氏。

初芝電器産業(ハツシバ)の新社長に大抜擢された中沢氏が、10万円程度の安いスーツを着ていると知った当時の社長と会長が「すぐに一流店で100万円程度のスーツを仕立ててきなさい」と中沢氏を諭すシーンがあります。それがハツシバの社長に求められる生き方だというのです。

時代や環境が当時とは異なり、この考え方が単なる漫画の世界なのか、財界人ともなる人の感覚なのかはわかりません。恐らくポイントは100万円という値札ではなく、よいものを見極める目やセンスが、企業トップには必要だという趣旨ではないかと推測します。

次ページ「法的に潔白」というのは当然のこと
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事