跋扈するヘッジファンド、株式市場に再び暗雲も

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しかし、こうした金融相場は「中央銀行の金融政策を示唆する言葉によって大きく振れることに注意が必要」(藤戸則弘三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部長)であり、また、「ヘッジファンドはサヤ取り業者なので四半期ごとにメインのストラテジーを変える。それが相場のターニングポイントになることが多い」(同)という。

変わらない構造問題

08年9月のリーマンショック以降、毎回のように、金融市場の危機に直面すると、金融緩和で乗り切るが、その後再び、リスク要因が出てきて、金融市場が荒れるということが繰り返されている。10年以降は1~3月期に株式相場が上昇し、5月ごろに悪材料が出て、下げに転じるという展開だ。日経平均はヘッジファンドを中心とする外国人投資家によって翻弄されており、8500~1万1000円近辺を往来している。

その理由は、結局、世界の経済が抱える構造的な問題が、リーマンショック以降、変わっていない点にある。金融緩和は金融市場を落ち着かせ、投資家のマインドを改善するが、こうした問題を解決するわけではない。

米国経済の問題は、住宅バブルの崩壊にあり、その調整が終わらないと、中長期で見た回復は始まらない。調整が終わる時期は早くて15年、遅くて17年とみられている。

雇用も問題だ。失業率は低下しているが、かねてバーナンキFRB議長が指摘しているように、失職状態が長引いて、労働市場への参加をあきらめた人が増えたことによる見かけ上の改善でしかなく、雇用者数は増えていない。

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