質問を受けたらまず「ありがとうございます」、就活の現場で広がる"いちいち感謝"が鬱陶しい理由

いつの頃からだろう。質問されるたびになぜか、「ありがとうございます」とまず礼を言ってから答え始める人が増えている。
これに対し、「いちいち感謝されても鬱陶しい」など不快感を抱くケースも多いとか。なぜ、このようなコミュニケーションが広がっているのか。背景を探った。
面接担当者「自分のセールスポイントは?」
学生「ありがとうございます。私の長所は何事にも物怖じしないところだと思います。例えば~(以下略)」
面接担当者「志望動機を話してください」
学生「ありがとうございます。御社の企業理念に共感したからです。それは~」
面接担当者「学生時代に力を入れていたことは?」
学生「ありがとうございます。入学してすぐにテニスのサークルに入り、そこで学んだのは~」
違和感を持ち始めたのは、10年ほど前。元NHKアナウンサーで、大学や企業などを対象にしたプレゼンテーションや言葉遣いの研修・セミナー経験も豊富な合田敏行さん(67)は、大学生の就職面接トレーニングの場面での「ある変化」が気になった。
ごく普通の質問に「ありがとうございます」
「ごく普通の質問に対し、必ず『ありがとうございます』と言ってから答える学生が一定数、いたんです。発想としては、1人の学生に対してわざわざ質問をしてくれて感謝します、ということなのでしょう。その後、同様の答え方をする学生の割合は年々増えていったなという印象です」