質問を受けたらまず「ありがとうございます」、就活の現場で広がる"いちいち感謝"が鬱陶しい理由
学生だけではない。例えば家電量販店で機器の説明をしてもらうとき、質問のたびに「ありがとうございます」と言ってから答える店員。ラジオ番組でパーソナリティーの質問のたびに、「ありがとうございます」と言ってから答え始めるゲストのトレンド研究家──。
「近年、ちょっと気になる言葉遣いの傾向だなと思い、注目しています」(合田さん)
この「いちいち『ありがとうございます』」に違和感を持つ人は、他にも多いようだ。東京都内の会社員の男性(46)は、この言い方が「大嫌いなんです」と眉をひそめる。
「そこまで『ありがとうございます』を連発されるとくどいし、鬱陶しい。何だか、必要以上にへりくだっている感じがして、不愉快な思いさえ抱きますね」
20数分の取材中に7回も
現在50代の筆者にも思い当たることがある。仕事柄、さまざまな人に取材する毎日だが、こちらの質問に「ありがとうございます」と答えてから話し始める人は、以前に比べて『明らかに増えた』が体感。
言われる側として、必ずしもすべてのケースをネガティブに感じるわけではない。しかし、「なんでまた?」とうっすら違和感を持つのも確かだ。
答える当人はどういうつもりなのか。筆者が以前にオンライン取材をした東京都の会社員の女性(26)に聞いてみた。そのときは20数分の取材で計7回、私の質問に「ありがとうございます」と前置きしてから答えてくれていた。

「言われてからハッとしましたが、たぶん無意識に言ってますね。理由ですか……おそらく、私に興味を持っていろいろと聞いてくださりありがとうございますという気持ちが一つ。
もう一つはこちらが話したいと思っていたことを聞いてくださったときに反射的に出ていたのでは。会議などでも、まず『ありがとうございます』の後に『おっしゃる通りで~』などと続くパターンは多い気がします」