もはや「富裕層しか建てられない」日本の住宅…欧米で普及する方式導入で価格は下がるのか

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工務店が助っ人クラウドを利用すると、どのようなメリットがあるのか――。BIM設計会社が発注者の要望と予算に応じた設計図を作成して詳細な実行予算を算定するので、工務店は面倒な見積もり作業が不要になる。必要な資材も発注者が工程に合わせて電子発注して現場に納入されるので、資材を管理する手間が省ける。専門工事会社への代金支払いもMSJが出来高払いするので、工務店は工程通りに工事を進めることに専念できるので、労働生産性の向上が期待できるだろう。

住宅資材の供給も、電子発注システムを利用して効率化する必要がある。浜松市の一条工務店が戸建て注文住宅で積水ハウスとトップを争うまでに成長したのは、フィリピンに住宅の部材や設備の工場を建設しコンテナ輸送を利用して効率的なサプライチェーンを構築することで価格競争力を高めたからだ。

建材流通ベンチャーのMOZU(社長・野口真平氏、東京港区)は、2024年4月に立ち上げた建材のオンライン受発注サービスの登録ユーザー数が早くも1万社に迫っている。野口氏は、賃貸住宅仲介管理向けITサービスで不動産業界のDX化に貢献したイタンジの前社長。新たに建材流通分野のデジタル化に挑戦しようとイタンジを退社し、MOZUを立ち上げた。

「いまは誰もがスマホを使えるので、LINEビデオ通話でサービスの使い方を30分ぐらいレクチャーすると、高齢の現場作業者からも、すぐにLINEを通じて注文がくる」(野口氏)。工事現場で必要な工具や部品など間接資材を扱うECサイトは25年前に登場したが、今後は主要な部材や住宅設備などの直接資材でも流通市場のデジタル化は不可欠だ。

「オープンブック方式」の導入は進むか

日本の建設・住宅市場で「オープンブック方式」の導入は進むだろうか。

「ゼネコンにとって一括請負方式は自分たちの利益の源泉との意識が強い。日本ではオープンブック方式の普及は難しいのではないか」(日本建築積算協会幹部)との声が聞かれるのも確かだ。

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