もはや「富裕層しか建てられない」日本の住宅…欧米で普及する方式導入で価格は下がるのか

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さらに工事費や資材費を支払うための電子決済機能をBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)として用意した。同社は、住宅金融支援機構のフラット35など住宅ローンの融資業務のほかに、銀行代理業を行っている。住宅瑕疵担保責任保険法人であるグループ会社のハウスジーメンでは住宅の施工品質をチェックする検査員を抱えており、工事の進捗状況を確認しながら支払いを実行できる。

BIM設計、電子発注、施工管理、電子決済の機能をクラウドシステム「助っ人クラウド」=図=に統合することで、住宅生産のサプライチェーン全体の情報を一元管理できるのが強みだ。

「総価一括請負方式」の事業スキーム

「総価一括請負方式」では、元請け業者側が必要な資材と技能者を調達して建設工事を完了させるのが基本的な事業スキームだ。住宅であれば、完成物件を引き渡して、不動産登記手続と当時に発注者から請負代金が支払われる。そのため、元請け業者は工事期間中に発生する資材費や労務費などの支払いを負担しなければならない。

元請け業者に資金力があれば工事期間中の資金繰りには困らないが、中小の工務店や下請け業者にとっては負担が重い。それを金融機関の中間融資や地元の建材卸問屋の信用売りなどがカバーすることで、資金力の乏しい中小工務店でも住宅建設の一括請負が可能だったわけだ。

発注者は物件が完成した後に実行される住宅ローン融資などを使って工事代金を支払えばよいが、材料費や労務費だけでなく工事期間中の資金繰りに関わる様々な経費がコストに上乗せされている。大阪・関西万博の工事代金未払いのような問題が発生して施工業者が資金繰りに行き詰まって倒産すれば、工事がストップするなどの影響も出る。

こうしたリスクを回避する方法が「出来高払い」である。発注者が工事の進捗状況(出来高)に合わせて工事代金を部分払いする制度だ。公共工事では、工期が180日以上の工事を対象に出来高部分払い制度が2006年から導入された。大手住宅メーカーでは大東建託が協力会社に対して出来高払いを行っていることが知られている。

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