なぜ「指輪」なのか? スマートウォッチにないOuraだけが持つ"圧倒的な価値"とは

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その他、女性向けに特化したEvie Ring(エヴィーリング)や、最軽量をうたうRingConn(リンコン)など、新規参入も相次いでいる。

睡眠時間世界最短の日本市場

興味深いのは、日本市場の特殊性だ。オーラがこれまでに蓄積した日本ユーザーのデータによると、日本人の睡眠時間はアメリカやフィンランドより1時間少なく、世界最短レベル。一方でストレススコアは世界的に見て低い水準にある。

「日本人の健康状態は複雑で、一人ひとりのレベルで理解される必要がある」とスウィーニー氏。内閣府の調査では、日常生活で悩みや不安を感じる人の約3分の2が、自分の健康を心配事として挙げている。

日本でのオーラユーザーは30~40代男性が中心だが、20代女性が過去半年で43%増加している。同社は過去にソフトバンクの直営店でGen3モデルを販売していたが、今回のOura Ring 4では初めて本格的なマーケティングを展開。渋谷や新宿での大規模広告展開、日本語サイトのリニューアル、カスタマーサポート体制の強化などを実施する。

オーラの交通広告
日本では交通広告の展開などでユーザー獲得に注力する(筆者撮影)

販売はソースネクストがパートナーとなり、ヨドバシカメラとビックカメラの店頭では、日本特製のディスプレイでサイズ確認も可能だ。

サイジングキット
オンラインで購入する場合は事前にサイジングキットを購入して自分に合う大きさを確かめる必要がある(筆者撮影)

スマートリングは、画面を見る必要がないぶん、スマートウォッチより「意識しない健康管理」を実現できる。睡眠時も違和感なく装着でき、充電頻度も少ない。一方で、リアルタイムでのデータ確認や、通知機能などはスマートウォッチに劣る。

両者は競合というより、異なるニーズに応える製品だ。サムスンはGalaxy RingとGalaxy Watchの併用を推奨している。IDCは、スマートリングがスマートウォッチ市場の一部を侵食する可能性を指摘しつつ、新たなユーザー層も開拓すると予測する。

井辺氏は「スマートウォッチの利用者のうち、バイタルデータの取得や健康管理を目的に使っていた人は、スマートリングに乗り換える可能性が高い」と分析。「電池持続時間や睡眠時の着用感など、目的を限定すればスマートウォッチに勝る利点が多くある」と指摘する。

2024年のスマートウォッチ市場は約1億6100万台。スマートリングはまだその100分の1程度だが、サムスンの参入で認知度は確実に高まった。健康意識の高まりと技術の小型化により、指輪型デバイスは新たな健康管理の選択肢として定着しつつある。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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