藤原新選手が問う日本マラソン界のあり方 ニコ動ユーザーから応援資金
大学長距離界が傾注する箱根駅伝も含めて、そもそも駅伝は日本独自の競技だ。世界の強豪は恵まれた体格を持つうえ、マラソン専用の練習を積んでいる。一方で、駅伝にこだわり、制約を受ける日本のスタイルは世界トップアスリートと対極にある。
藤原選手に話を戻そう。藤原選手はもともと拓殖大学を卒業後、JR東日本に入社。同社のランニングチーム所属時代の2008年2月の東京マラソンで2位に入り、同年の北京五輪・男子マラソンで補欠に選ばれ、翌年の世界陸上ベルリン大会に出場した。その後、10年3月にJR東日本ランニングチームを退部した。
このとき藤原選手は駅伝重視の練習方針に疑問を感じたといわれる。そして、10年7月に健康器具メーカーとスポンサー契約を結んだが、11年10月末で同社との契約を解除して、無所属、無収入のままで競技生活を続けていた。
藤原選手は、今回のニコ動との取り組みで一般から支援金を募るものの、引き続きスポンサー企業を探している。ただ、今のところは有力先が見つかっていないのが現状だろう。野球やサッカーのように観客から入場料が取れたり、年に何度も試合のあるプロスポーツと違って、レースの頻度が少なく、観戦におカネもかからないマラソンで、スポンサーになるメリットは薄いからだ。
マラソン選手は競技自体で生計を立てるのが難しく、競技を続けるには実業団に属するのが現実的。しかし、マラソンで世界を目指す場合、実業団選手はどうしても“駅伝”という足かせがある。藤原選手の新たな取り組みは、実業団や駅伝に依存しないマラソン選手の生きる道があるかどうかを問うことになる。
(武政 秀明 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら