記事へのただ乗り「民主主義の根幹揺るがす」…米パープレキシティを報道機関が相次ぎ提訴

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また、日経と朝日は、AIが事実に基づかない情報を事実のように回答する「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる問題にも言及している。実在する人物に関する質問について、参照元を日経新聞としながら、氏名や年齢を誤って表示した例などを挙げ、「虚偽の事実を多数表示し、新聞社の信用を 毀損きそん した」と批判した。

生成AIサービスが広がった結果、ニュースサイトの利用者が減って記事の制作コストを賄えなくなるばかりか、真偽不明の情報も氾濫する――。民主主義の基盤が崩されるような事態に陥らないためにも、読売、日経、朝日の各社は「健全な報道を守る意義を訴えていく」などとしている。

今村哲也・明治大教授(知的財産法)の話 「一見便利な生成AI事業者のサービスだが、記者が苦労して集めた情報や、創作性の高い記事が対価なく利用されているのは問題だ。提訴はそうした現状への問題提起であり、生成AI企業と報道機関がどう併存していくかを考えるきっかけとなるだろう」

米パープレキシティは2022年8月、対話型AIサービス「チャットGPT」を開発した米オープンAIの元技術者のアラビンド・スリニバス最高経営責任者(CEO)(31)らによって設立された。AIを使ったインターネット検索サービスを提供している。

英紙フィナンシャル・タイムズによると、利用者は3000万人超で、企業評価額は180億ドル(約2・7兆円)に上る。日本では携帯電話大手ソフトバンクと提携関係にある。

サービスを巡っては、著作権侵害の指摘が相次ぐ。24年10月には米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの発行会社などが、記事を無断で利用されたとしてパープレキシティを提訴。英BBCや米紙ニューヨーク・タイムズは警告文を送り、記事の無断利用の停止や使用料の支払いを求めた。

報道機関は自社のサイト上の情報をAIサービスなどに無断利用されないよう技術的措置を導入している。しかし、パープレキシティはこうした措置を無視して情報を収集しているとして、批判されている。

こうした状況に、パープレキシティは収益の一部を報道機関に分配する方針を打ち出している。米ブルームバーグ通信などは25日、今秋に開始予定の新たなニュース配信サービスに参加する報道機関に対し、計4250万ドル(約63億円)が支払われると報じた。

検索サービス市場では、米グーグルが約9割のシェア(占有率)を占めるが、パープレキシティはグーグルのブラウザー「クローム」を345億ドル(約5・1兆円)で買収する提案を行うなど存在感を高めている。

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