ネクステージでも同じ轍踏む「損保」の呆れた実態、ビッグモーター問題の教訓が生かされず

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ネクステージに対する行政処分の公表文書
行政処分の公表資料には「犯罪行為やコンプライアンス違反行為が継続的に発生」という、にわかには信じがたいネクステージの惨状がつづられている(記者撮影)

旧ビッグモーター(BM)を彷彿とさせる経営実態だった。金融庁と東海財務局は8月6日、中古車販売大手で保険代理店を兼営するネクステージに対して、保険業法に基づく業務改善命令を出した。行政処分の理由を記した公表資料には、上場企業としてはおろか、保険という金融商品を扱うに値しない経営の惨状が詳細につづられている。

そもそもネクステージは、BM問題を受けて2023年8月に「当社社内で調査を行った結果、不正な案件については確認されなかった」という声明文を出している。

ところが、金融庁が2024年12月から立ち入り検査を実施したところ、実際には経営陣が「問題なし」という結論ありきで自主調査をしていたほか、調査の統一的な確認基準がなく、調査の客観性が担保されていなかった。さらに、車両修理による売り上げの9割以上を占める外注先工場で、不正請求の蓋然性がより高いと考えられる案件を調査の対象外としていたこともわかった。

そのうえ、大手損保の独自調査によって2024年6月時点で少なくとも47件の不正請求疑義事案を把握していたにもかかわらず、事実確認の調査や顧客対応を一切していなかったという。

業務改善命令によって追加調査の実施は不可避の情勢で、故意に車体を傷つけて修理するような悪質な事案が今後多数発覚する可能性がある。

目も当てられない現場の惨状

これだけでもBM問題を想起させ、既視感が存分に漂うが、行政処分に至った理由は不正請求の疑義だけではない。

東海財務局は、ネクステージの経営陣が保険事業の重要性を認識しておらず、保険販売のルールを定めた保険業法の知見が欠如していると指摘。また、適切に保険販売が実施されているかを確認しておらず、内部監査についても本来の役割を果たしていないため、保険事業のカバナンスが機能不全となっていることを厳しく追及している。

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