ネクステージでも同じ轍踏む「損保」の呆れた実態、ビッグモーター問題の教訓が生かされず

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経営側がそうした無秩序な状態であるため、現場では顧客に対して何の説明もないままに、特定の損保の自動車保険を平然と推奨し契約させるという、ずさんな募集行為が横行していた。これは保険業法の情報提供義務に明らかに違反する行為だ。

さらには、東証プライム上場企業でありながら、クレジットカードの窃盗による不正利用や社内備品の横領といった犯罪行為やコンプライアンス違反が継続的に発生している。そして、こうした行為への対応により、「保険事業の運営及び管理に人的資源を十分に配分できていない実態にある」(同資料)というから驚きだ。BMと同様に、保険代理店としての登録を取り消されても文句が言えないような経営の実態といえる。

そうした惨状にあるネクステージに対して、損保各社はこれまでどう対峙してきたのか。見えてきたのはBM問題のときと同じ轍を踏むような実態だった。

損保各社が熱を上げた便宜供与

ネクステージは損保からの便宜供与(本業支援)実績などを基に、新店舗で推奨する損保を決めていた。損保各社は取引シェア向上のため、事故車の入庫誘導に加えて、年間数十台にも及ぶ社有車の購入や下取りといった便宜供与に熱を上げた。

中古車販売大手のネクステージ
ずさんな保険販売と管理体制の不備などで業務改善命令を受けた、中古車販売大手のネクステージ(記者撮影)

その構図はBMとまさに瓜ふたつ。さらには、ネクステージの関係者によると、今年に入ってから「専属化および(損保各社の)直資代理店への顧客媒介という提案を損保から受けている」という。この提案は、乗り合い代理店として保険事業を続けることが厳しいのであれば、1社専属の代理店に切り替えるか、損保の子会社代理店1社だけに顧客を紹介するという、新規契約を総取りできる「我田引水」のスキームだ。

大手損保各社がBM問題の教訓を生かすことなく、収入保険料に目を奪われるようなことが続く場合には、経営に与える打撃が計り知れないものになりかねないことを肝に銘じておくべきだ。

本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「ネクステージの行政処分で問われる損保業界の悪しき慣習、生かされなかったビッグモーター問題の教訓」でご覧いただけます。
中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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