その結果、中国の製造業では人件費の重い負担に耐え切れず、2013年の後半あたりから倒産や廃業が増加の一途をたどっています。おそらく、そのピークは2015年~2016年に訪れることになると思いますが、その時には中国全土の失業者数は1億人を優に超えているのではないでしょうか。
三井:中国の苦境はまだ終わらないということですね。
中原:そうですね。今後の中国経済の舵取りには、相当な困難が付いて回るものとなるでしょう。中国経済をソフトランディングさせるには、最低でも5年単位の時間が必要ですし、通常は10年単位の時間がかかってもおかしくはないのです。
つねに緊張を強いられている習近平
三井:最後に、中国の権力闘争についてどのようにお考えですか。
中原:目下のところ、習近平は熾烈な権力闘争で命を狙われながらも、元国家主席である江沢民の一派や前国家主席である胡錦濤の一派を次々と汚職罪で摘発し、強い権力基盤を確立しようとしています。最終的な狙いは江沢民であることに間違いないでしょうが、そこまでたどり着けるかどうかは誰にもわからないことです。
それほどまでに、中国共産党における権力闘争は苛烈を極めているということです。その証拠として、習近平は何らかの行事で多くの人前に姿を現す際、いったん配置した数百人もの警護要員を直前に総入れ替えさせることがあるといいます。警護要員の中にも裏切り者がいるかもしれないと疑っているのです。
習近平にとって困難なのは、権力闘争で暗殺される危険性がある中で、民衆の不満も和らげなければならないということです。経済の減速や格差の拡大、汚職の慢性化に加えて、今では株価の暴落までもが共産党独裁体制を危うくしているので、習近平はどうにかして民衆の支持を拡大するべき施策を考え続けなければならないからです。 (撮影:梅谷秀司)
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