浦和レッズ「売上高200億円クラブ」への虎視眈々、《2年連続で売上高100億円》でも拭えない危機感の正体
その一歩として、海外クラブとのネットワーク強化は重要なポイントだ。浦和は目下、ドイツのフランクフルト、オランダのフェイエノールト、タイのムアントンと提携しているが、それ以外のクラブからも「一緒に何かやりたい」というオファーがいくつも来ているという。
「欧州やアジアのみならず、オセアニアやアメリカも含めて、さまざまなクラブからコンタクトが来ています。ユース世代の指導者や選手の交流、指導方法の情報交換など、いろんなアイデアが寄せられているのはありがたい。
6月のクラブW杯でも、アジア市場に興味を示しているところが結構あった。ブラジルのボタフォゴも非常に熱心でした。そういうネットワークを生かしながら、クラブ経営にプラスになる点を見いだし、実際の数字に寄与できるように、クラブ内で議論を進めているところです」(田口社長)
「売上高200億円」のカギを握る海外市場の開拓
Jリーグの野々村芳和チェアマンは「Jリーグに売上高200億円のクラブを作りたい」と口ぐせのように語るが、その可能性が最も高いのが浦和だ。そのためには、スポンサー収入をさらに引き上げ、埼玉スタジアムでの1試合平均観客数をつねに満員である6万人近い水準まで増やさなければならない。ただ、それだけでは足りないのも現実だ。
「今の収入の3本柱を伸ばしていくだけで200億円に到達するかというと、なかなか難しいというのが実情です。新たな収入源として考えられるのは、移籍金収入、クラブW杯のような国際大会の賞金などがありますが、海外のリーグはそこに放映権料という桁違いに高額な収入がある。そこはクラブ単独ではどうしようもないので、Jリーグと一緒にやっていかないといけないところだと思います。
私個人の案としては、東南アジアを含むアジアの東地区で独自の大会を創設できないかというのがあります。われわれはタイのムアントンと提携していて、ベトナムにサッカー教室を開校したりもしていますが、アジアには巨額の資金力を誇るクラブが複数ある。そういったところと話を進めて、大会を設け、賞金が得られる仕組みを作っていければいいのではないかと考えています。
『そんな大会ができたところで、Jリーグクラブのレベルアップにつながるのか』といった疑問の声も出るかもしれませんが、インドネシアは自国にルーツのある海外出身の選手をどんどん代表チームに呼んでいますし、マレーシアもプレミアリーグやブンデスリーガに行っている国籍保有者を呼び戻している。それによってレベルも上がっています。彼らと真剣勝負をすることでJリーグ所属選手も国際経験を得られる。そんなアイデアも頭で描きつつ、収益だけでなくクラブの力をつけるためにできることを考えていきます」(田口社長)
何か斬新なアプローチをしていかなければ、売上高100億円のサッカークラブの収益規模を2倍に拡大するのは難しい。今後の浦和にはサッカーファンを驚かせるような取り組みを期待したい。
(後編に続く)
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