浦和レッズ「売上高200億円クラブ」への虎視眈々、《2年連続で売上高100億円》でも拭えない危機感の正体
「スポンサー収入、入場料収入、グッズ収入の3本柱を手堅く得ることができたのは、クラブスタッフの日々の努力と関係先の皆さまの支えが大きいと考えています。とくに、ファン・サポーター以外にも、約100社のパートナー企業からの支援にはたいへん感謝しています。
ただ、『今までのやり方だけではマンネリ化しているのではないか』という危機感がクラブ内外で高まっているのも事実。看板広告などの露出だけではやはり限界があるので、企業が抱える課題の解決、社会課題への取り組みも視野に入れ、クラブがハブとなって価値を提供できる仕組み作りを推進していくつもりです」(田口社長)

今年からレッズ・ブランドアンバサダーに就任した元日本代表・岡野雅行氏、昨季限りで現役引退した興梠慎三・パートナー営業担当およびアカデミー・ロールモデルコーチといった、クラブOBを媒介としたイベント開催や交流の場設置の試みなどは、その一例だろう。
実績と知名度のある彼らが埼玉スタジアムでのホームゲーム開催時にVIPルームを回って積極的に意思疎通を図ることで、クラブと企業との絆も深まるし、課題解決への布石も打てる。そういった活動を増やしながら、浦和レッズの存在価値をより多くの企業や団体に認知してもらえれば、中長期的な支援の拡大につながるかもしれない。地道なアクションを続けることが肝要なのだ。
新生・大宮にどう向き合っていくのか
ここで1つ、気になるのが、同じさいたま市にホームタウンを置く、J2のRB大宮アルディージャの存在である。1999年のJリーグ参入時からNTT東日本が大宮の株式100%を保有していたが、2024年9月にオーストリアの飲料メーカー・レッドブルに譲渡。レッドブル傘下に入って、今季から新たなスタートを切っている。
クラブ買収によって雰囲気がガラリと変わり、J3からJ2に昇格した今季はJ1昇格プレーオフ圏内(3〜6位)で戦っており、来季以降は再びJ1で浦和とさいたまダービーが復活することもありうる。そうなれば、地元企業やファンの流れが変わるかもしれないのだ。
「大宮さんの場合はレッドブルが大きなお金を投じて、1社中心でやっていくと思うので、多くのファン・サポーターの皆さまや、約100社のパートナーに支えられているわれわれとは経営のベースが異なります。
ただ、今回の外資参入はポジティブな動きだと捉えています。日本のスポーツ界は長らく、製造業の福利厚生を基盤に発展し、その延長線上に現在もありますが、外資の参入によって新たな力学や構図が生まれつつあるのは確かです。
われわれにしても、三菱重工や三菱自動車からの協賛はクラブ運営において大きな支えとなっています。しかし、それだけに依存することはできません。親会社からの協賛金の大幅増額は見込みにくいため、やはり埼玉の企業の皆さまにもご支援いただくことが不可欠です。
ただ、海外の企業にもパートナーになってもらうことは今後、考えていく必要があるとは感じます。日本は少子高齢化が急速に進み、人口減のフェーズに入っているので、外に目を向けることは大事です」(田口社長)
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