「支持はしないが首相は辞めるな」 世論調査の"絶妙な結果"から浮かび上がる石破政権の命運
さらに注目すべきは、自民党支持層において「辞任に否定的な意見」が多い点だ。朝日新聞の8月の世論調査では76%が「辞める必要はない」と回答し、同月の毎日新聞の調査でも自民党支持層の65%が「辞任する必要はない」と回答。一般の数字(朝日新聞では45%、毎日新聞では43%が「辞任する必要はない」と回答)を上回っている。
要するに、石破政権の支持率は参院選時より上昇するも、さほど高い水準にあるとはいえないが、支持者のほかにも「石破首相は辞める必要はない」と考えている層が存在するということになる。
その一部が7月25日夕方に首相官邸前で行われた「石破辞めるな!」デモ参加者だろう。彼らは参院選で自民党に投票しなかったが、「石破首相は参院選での敗北の責任をとる必要がない」と主張している。
これは、「7月の参院選で自民党が敗北した主な原因は『政治とカネ問題』だ」と主張しているに等しいといえる。実際に8月の共同通信の世論調査では、参院選で自民党が敗北した理由の1位は「政治とカネ問題の対応の甘さ」で49%を占め、2位の「物価高への対応など自民の政策がよくなかった」の30.6%を大きく引き離している。
その「政治とカネ問題」が大きく注目されるきっかけになったのは、2023年11月に日本共産党の機関紙「赤旗」が報じた旧安倍派のパーティーの裏金問題だった。にもかかわらず「石破降ろし」の中心が旧安倍派という現実は、国民の理解が得られるはずもない。
「石破・小泉会談」が示唆するシナリオ
こうした調査結果でわかるのは、「選挙」という手段がつねに民意を忠実に反映しえるものなのかという点だ。
昨年の衆院選と今年の参院選で、自民党は逆風を受けながらも比較第1党の地位を維持している。しかし自公で過半数を維持できなかったのは、それだけ民意が離れたということになるが、そのねじれの真意を選挙結果だけで判断することは難しい。
そうした動きに石破首相は「民意」を感じ取ったに違いない。だから8月24日夜に、小泉純一郎元首相らと会食の機会を設けたのだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら