今後10年間は僕が独走する 外食成長株、ステーキ「けん」井戸実社長に聞く

拡大
縮小



 ただ「けん」があまりにうまくいきすぎたため、現在育成中の「とんかつ&サラダバー よしかつ」は面白くない。今後は、まずは国内で「けん」を400店舗出店し、その次は別ブランドを育てるかM&Aを実施する。

--エムグラントフードサービスの5年後をどう描くか。

5年後はそんなに変わっていない。売上高500億円、店舗数は600店ぐらいだ。僕はまだこの会社のトップにいて細々とやっているだろう。主力はステーキのけんだが、それでは500億円に届かないので、もう1つか2つのコンテンツがあるはず。自社で作るか、M&Aかはそのときの状況によるが、M&Aの可能性が高い。

■都心は割に合わない、ロードサイドで頂点目指す

--ロードサイドに出店立地を絞っている。都心では店を出さないのか。

あくまで売上高と家賃のバランスの問題だ。1つのお店で1000万円の月商を作るときに、どれだけの面積が必要なのかが問題になる。東京都内で繁盛店と呼ばれるお店は坪当たりの売上高が20万円程度。1000万円の売り上げを作るためには50坪の店がいる。家賃比率が7~8%が適正だと言われる中、50坪の店舗で家賃70万~80万円の物件はなかなかない。

 しかも普通のお店だと坪当たりの売上高は15万円程度、7万~8万円の場合もある。そうするとなかなか都内では成り立たない。ところが郊外のロードサイドではそういった物件がごろごろしている。売上高と家賃のバランスを見たとき、郊外のほうが売り上げを伸ばす余地が大きい。

「けん」のビジネスモデルは客単価や売上高家賃比率など、外食産業のビジネスモデルの王道を行っている。それは僕がすし屋を皮切りに、レインズインターナショナル(焼き肉店「牛角」を運営)、リース会社と仕事を変えてきた中で、飲食店が成立する条件を学んできたからだ。

 よい場所を取ってきて高い家賃でやるのは誰でもできる。難しいのは一本裏道でも集客できる業態を作ることだ。特にレインズでは、二等立地戦略を取ること、設備投資をしてはいけないという大切な2つのことを学んだ。

--ロードサイドの頂点を目指したいとしているが。

やるからには頂点を目指したい。この市場にはすかいらーくというファミレスの基礎を作り、ロードサイドのマーケットを開拓してきた先輩がいる。そのことに感謝はしているが、業界のリーディングカンパニーが「けん」と非常に似通った業態を展開しているのは困ったことだ。売上高では1ケタ(注:すかいらーくの連結売上高は3418億円とエムグラントサービスの15倍)違う。総資産に至ってはロイヤルホールディングスが778億円、すかいらーくは2937億円。当社は総資産は非開示だが資本金は3000万円と大違いだ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT