今後10年間は僕が独走する 外食成長株、ステーキ「けん」井戸実社長に聞く
ここ数年、外食業界で話題を集める新興チェーン「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」(以下「けん」、運営会社エムグラントフードサービス)。井戸実社長率いる「けん」は、2006年7月に1号店として南柏店(千葉県)をオープン。1000円程度のメインメニューを注文すると、サラダやカレーが食べ放題になるという値頃感が受け、急速に店舗数を拡大してきた。12年3月期末でフランチャイズを含めて全230店を展開、売上高は225億円を見込んでいる。
この「けん」の躍進に目をつけたファミリーレストラン各社は「ステーキガスト」(すかいらーく)、「カウボーイ家族」(ロイヤルホールディングス)と模倣業態を続々と投入。業界は空前のステーキブームに沸いている。
はたして「けん」は競合他社の追撃をかわし、高成長を続けることができるのか。
井戸社長といえば、クレームの電話をかけてきた客について、「たった1000円ちょっとの食事で30分もクレーム電話をし続ける奴の気が知れない」や「ニートは道を歩くな」といった過激なネット発言で知られる人物。ある業界関係者は「トップが知性や教養を欠くと思われがちなことも、外食が主要産業として認められない理由の1つ」として嘆く。企業が拡大局面にある今、発言に慎重さも求められる。
■おいしいのはアイスとカレー
--「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」はどのような業態か。
ロードサイドを中心に展開するファミリーレストランだ。他社のファミレス店が退店したあとの設備や建屋をそのまま使う「居抜き出店」でコストを削減し、店舗にはおカネをかけない。その分、顧客にカレーやサラダバーを食べ放題として提供するビジネスモデルだ。ターゲットは家族連れで、客単価は1150~1200円と他社ファミレスに比べ安くはない。
--「けん」のウリは。
「けん」で胸を張っておいしいといえるのがアイスとカレーだ。アイスとカレーは嫌いな人がいないし、集客力も強い。特にアイスは原価だけもらっているイメージ。最初は大手菓子メーカーのアイスを使っていたが、食べ放題に来て200円払ったアイスが普通のアイスだったら面白くない。びっくりするものを探そうと思い、現在のベルギーアイスになった。
仕入れ原価でバケツ1杯(2.4リットル)当たり2000円以上するため、3皿食べられると原価割れしてしまう。コンビニで売っている高級アイスと原価ベースでは変わらない。この高品質アイスを200円で食べ放題にしているのは「けん」だけだ。
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