今後10年間は僕が独走する 外食成長株、ステーキ「けん」井戸実社長に聞く

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カレーについてはおいしくもなく、まずくもないことが重要だ。大人も子供も食べられる辛さで、毎日食べても飽きが来ない味になっている。これが辛かったり、スパイスが効きすぎたりしているなど、クセがあると飽きられてしまう。万人受けする無難なカレーというメッセージが込められている。

サラダバーも当然ウリの1つ。野菜は高騰しているが、それでも値上げはしない。ステーキよりもサラダバーやカレー、コメの原価が高い。外国産米の使用は考えず、商品ミックスを変えることでやりくりしている。

この辺が商売のやり方で、一般的にステーキ屋はステーキで、ハンバーグ屋はハンバーグで勝負しようとする。誰もが当たり前だと思うが、われわれはそこにたどり着かない。

 すき家の戦略のように牛丼を含めさまざまなサイドメニューをミックスして販売する。そこに商売のコツがある。

■ステーキはブレーキをかけ、新業態を育てる

--急速な成長で話題を集めているが、業績の推移はどうか。

前12年3月期で、売上高はおおよそ225億円程度。出店は約80店だった。経常利益で1.4億円ぐらいだ。各店舗の売上高は東日本大震災の後、5月がいちばんよかったが、その後9~11月はすかいらーくなど競合他社の攻勢を受け、やや落としている。経常利益は少ないように見えるかもしれないが、僕の役員報酬で1.8億円計上されている。株式非公開企業で90%以上の株を僕が持っており、利益を出す必要がない。

今13年3月期は売上高250億円でブレーキをかける。ここ数年は出店数が多くほころびが出てきたのも事実。今期はそれを整理し直すための1年にする。既存店についても前年対比の売上高を気にした経営を実施していく。出店計画は直営5店、FC60店と過去3年でいちばん少ない。ブレーキがかかるとはいえ、日本の外食チェーンで年間60店以上店が増えるのは20社もないのではないか。

--整理とは?

出店数が多すぎて、人事異動が多くなると店舗や本部が管理し切れない。人事に関しては直営店では期初1回の人事異動だけとする。だから新店が出せないという状況だ。店長が落ち着かないと店やお客も落ち着かない。その辺はコロコロ変えてはいけない。前期は人事異動を頻繁にやっており、反省点が多かった。

--今後の成長戦略は。

やるとしたら、今までと同じ特定の分野に特化した専門店の食事業態だ。和食は難しいかもしれないが今度パスタ業態を展開する。「けん」は400店で打ち止めを考えている。それは店舗が増えすぎると、店舗同士の競合が始まり売り上げが下がるからだ。

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