Uberが巨額資金を吸い寄せ続ける本当の理由 「運輸の未来」開く豪腕ぶりが投資家を呼ぶ

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同社は最近、タクシー配車だけではなく、バイク便やレストランの出前サービスにまで乗り出している。宅配業界や公共交通機関にまでけんかを売るつもりなのだろう。

世界の運輸システムをひっくり返す? (写真:wavebreakmedia / PIXTA)

では成算はあるのか。豪腕はさらなる反発を生む。先進国で既存勢力に打ち勝つのは並大抵のことではないだろう。

そこで狙っているのは新興国。特に中国とインドには力を入れているようで、中国国内では既に6万人のドライバーを確保して通常の3倍のボーナスを支給しているという。また、タイ、シンガポール、ベトナムでは過去1年半に、ロビー活動に10億ドルもの予算を費やしているらしい。

 雇用消滅との「スピード調整」が必要

運輸の究極の未来を想像するのは、それほど難しくはない。無数の自動走行車が街中を走り回り、必要なときにアプリで呼び出せる。自分あての荷物も好きな場所で好きなときに受け取ることができる。アプリの地図で、自分の注文したモノを運んでいる自動走行車の位置を確認できるからだ。

交通事故や大気汚染も激減するだろう。マイカー所有者はほとんどいなくなり、車の運転は、特定のサーキット場や観光道路でのみ許可されるようになるかもしれない。

運輸業界で起こり始めたUberと20世紀型産業との対立は、人工知能やロボットの進化を受けて、あらゆる業界に波及するだろう。特定の職業が技術進歩に押されて消滅する例は過去にも多々あったが、21世紀は変化のペースがとてつもなく速い。雇用減がもたらす痛みとの「スピード調整」が、今後は求められる。

湯川 鶴章 ITジャーナリスト

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ゆかわ つるあき / Tsuruaki Yukawa

ITジャーナリスト。
新聞配達から新聞記者になり、ネットメディアの立ち上げなどを経験したあとフリーに。SFならぬ「TF(テックフィクション)」というテクノロジーをベースにした近未来予測が専門。「2歩先の未来を読む」をテーマにした少人数制勉強会TheWave湯川塾を主宰。現在は30期目の塾生を募集している。代表的な著書は『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)など。

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