Uberが巨額資金を吸い寄せ続ける本当の理由 「運輸の未来」開く豪腕ぶりが投資家を呼ぶ

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大きな変化は、新規参入者にとってはチャンスである一方、既得権者には脅威となる。当然、既得権者は全力でこの変化に抵抗するか、変化の速度を少しでも下げようとする。Uberの経営者には、既得権者のこの抵抗に立ち向かえるだけの豪腕が備わっていると、投資家は期待しているのではないだろうか。

Uberはこれまで、世界各地で猛反発を受けている。抗議運動が起こっているのは、ドイツ、インド、スペイン、コロンビア、フランス、イタリア、デンマーク、英国など。ドイツ、スペインではアプリの使用が禁じられ、インドでは2都市で営業許可が降りない状態だ。フランスでは今年、同社の幹部が逮捕されたとの報道がある。

それでも同社はめげずに各地の政府や役所に対して派手なロビー活動や啓蒙活動を繰り返しているもようだ。米地方紙オレゴニアンによると、Uberに批判的な記事を書くジャーナリストのスキャンダルを暴くため探偵を雇うべきだ、と同社幹部が語ったという。

ギャングが政治家の色恋沙汰をつかんで意のままに動かそうとするシーンを映画では見かける。本気でギャング顔負けの手段に訴えようとしているのかは定かではないが、こういう話が出てくるだけでもすごい。

リクルーティングでも豪腕を発揮している。今年2月にはカーネギーメロン大学のロボット研究室から約40人の研究者を大学とは比較にならない高給で引き抜き、すぐ近くに開設した自動走行車の研究所に移籍させた。同大のロボット研究室は100人程度の規模だったというから、半数近くが引き抜かれた計算だ。この研究室が今後やっていけるのか心配になる。

「Uberマップ」が示す野望

また4月には地図ベンチャーのdeCarte社を買収したほか、マイクロソフトの地図部門からも一気に100人を引き抜いている。

10月に入って、グーグルのストリートビューカーのような車がUberのロゴをつけて走っているのが目撃されている。人間のためのパノラマ写真を撮影しているグーグルカーとは違って、専用のセンサーで自動走行車のための3Dデータを取得して回っているという。

こうした動きからも、Uberが目指しているのが、単なるタクシー配車事業だけでないことが分かる。自動走行車やロボットを使って、人だけでなくモノも運べる巨大インフラ構築を目論んでいるかのようだ。

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